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《2010.10月−13》

キャナルシティでのお能は新鮮
【能「葵上」 (福岡文化財団)】

構成:福岡市能楽協会
24日(日) 17:00〜18:50 キャナルシティ博多B1Fサンプラザステージ・水上能舞台


 「日本伝統芸能 IN CANAL」の第2夜、「キャナル水上夜能」として上演された狂言「清水」と能「葵上」を観た。
 戸外の狭い仮設舞台でのマイクをつけての上演で、演者はきゅうくつそうだったが、ほんのそばで見られてよかった。
 開演前に噴水の水のパフォーマンス。上演中もいろんな音と景色が飛び込んでくる。そんないつもと違う上演環境が新鮮だった。


狂言「清水」 (17:05-17:30)

 清水汲みを言いつけられた太郎冠者が、鬼が出るとウソをついて、鬼の面をかぶって頼んだ主を脅すが・・・。
 鬼の面をかぶっての大げさな演技で、野村万緑がうまくまとめる。主(あるじ)役を演じる吉良博靖が、なかなか切れのいい演技で見せる。
 マイクが若干気になるが、だれがしゃべっているかはわかるので、違和感は少ない。


能「葵上」 (18:05-18:50)

 葵上にとりつく六条息所の怨霊を、横川の小聖が祈り伏せる。
 臥せっている葵上は役としては登場することはなく、舞台前方に着物が置かれているだけ。そのまわりですべてが展開される。

 シテの鷹尾維教は、この人らしい動きのいい舞を見せる。
 なかなか使われることのないという般若の面をかぶった後シテでは、六条息所の怨念があふれていた。対するワキの坂苗融もガッシリ。
 出演者は全部で16人。全員がプロだから、たぶんほとんど申し合せはされていないだろうが、それでも濃密な舞台だ。

 仮設舞台のため舞台が狭いので、地謡4人が並ぶと能舞台の一辺がいっぱいいっぱい。囃子方4人が並ぶ正面も同様。後見の場所も要る。
 そんなだから、舞台上動けるスペースは異常に狭い。そこで舞う、面を着けたシテはたいへんだろうな、と感じてしまう。
 大音量のスピーカーからの声はそれだけで違和感があるが、誰の声かわからずに戸惑ってしまった。
 途中から照明の変更があったが、違和感があり、却って効果を削いでいる。


 この演能はきょう1ステージ。観客があふれていて、立見だった。


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