古臭くてテンポがのろくて単調で内容の薄い舞台だ。
脚本も演出も演技も完全に自分のためだけにやっていて、観客がどう感じるかについて考えた形跡がない。
近未来。ライブハウスに爆弾が落ちて、ラストライブ中のバンドの女性が1人死に、1人の女性は記憶を失ってしまう。
残った2人は、ラストライブのやり直しをしようとするのだが・・・。
書かれた役にも演じる役者にも個性がない。まったく入り繰りのない展開で見せ場もない。
メンバーに対して女性の記憶喪失が知らされるのが開演から1時間後。それまでのやりとりはほんとに何の内容もなくて、たいくつ極まりない。
それぞれのメンバーについてはほとんど何も語られないし、思いの行き違いは結果として語られるだけで、因果関係がわからない。
人物は個性に乏しく幼稚で甘ったれていて、ピリッとしたところがない。だから絡みようがない。
1時間かかってわずかに状況がわかりかけてきたと思ったら、すぐにラストライブが始まった。
それを聴いて記憶喪失の女性の記憶が回復して、いっしょに演奏して1時間20分の舞台の終演。
はじめからラストは見えていたにしろ、どうやってそこにもっていくかだろう。これじゃのっぺらぼうで、何の劇的感興も盛り込まれていない。あきらめて眺めているしかなかった。
かってはいい作品を書いていた岩永昭人の作品とも思えない出来だった。
この舞台は、岩永昭人率いるProject Gの最終公演で、きょう2ステージ。マチネを観た。かなり空席があった。