「時代劇版101回目のポロポーズ」は、時代劇化にあたっての設定がダメで展開のしようがなく、凡庸な舞台になってしまっていた。海援隊のショーと合せて、それなりには楽しめたが。
江戸時代初期の細川藩の城下町・熊本。
藩のまかない役を勤めるさえない中年侍・星野達郎左衛門(武田鉄也)は、行き倒れになっている美しい女性・薫(浅野温子)を助けて、家に住まわすようになる。
1991年に放送されたテレビドラマ「101回目のプロポーズ」(野島伸司・脚本)が原作とされているが、この舞台のストーリーはオリジナルだ。そのストーリーがかなり貧相で、舞台は大きく膨らむことはなくて、平板なままに終わってしまった。
テレビドラマのおもしろさは、ストーリー半ばで登場する薫の死んだ婚約者そっくりの男が登場し、それがよりによって達郎の上司という設定にあったが、そのような設定の妙はこの時代劇版には引き継がれてはいない。
ここでは、宮本武蔵を登場させての仇討ばなしにして、武田鉄也の2役早替りが見せ場としているが、あまりに弱い。ラストもひどくて、薫の夫の仇・宮本武蔵への仇討をどう乗り越えて大団円になるかと期待していると、あろうことか武蔵の急死でハッピーエンド。「それはないだろう、脚本家逃げるな、もっと考えろ!」と突っ込みを入れたくなる。
浅野温子は、きれいだが魅力全開という感じはなかった。江波杏子は、役柄が個性的に描けていないためにいまひとつ存在感が弱い。
山崎銀之丞は、単調だがまぁ生き生きとはしている。相島一之は、この人の持ち味を殺したもったいない使い方だ。やっぱり脚本が弱い。
「時代劇版101回目のポロポーズ」2幕のあと、「海援隊トーク&ライブ」が50分。
「トーク&ライブ」というとおり、演奏は6曲で、トークのほうが長い。その武田鉄也の勘所を押さえたトークが抜群。こらえきれずに吹き出したりほろりと涙が滲んだりたいへんだった。
この舞台は、博多座で2日から28日まで41ステージ。かなり空席があった。