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《2012.8月−9》

チグハグさにウンザリ
【かえれない3人 (不思議少年)】

作・演出:大迫旭洋
25日(土)13:00〜14:10 パトリア日田 スタジオ1 ひた演劇祭4作品通しチケット3,500円


 観客への提示が非常に独りよがりで、よけいなことをやりすぎていて飽きさせたかと思えば、よくわからないままに先にすっ飛んでいたりと、そんなチグハグさにウンザリしてしまった。

 アイドルとマネージャーとマネージャーの弟の3人芝居。アイドルとマネージャーが不法侵入した倉庫でマネージャーの弟の到着を待っている。弟は交通事故で大ケガを負って入ってくる。

 不思議少年の本公演を観るのは初めてだが、期待の若手である大迫旭洋は一人芝居や他劇団への客演の舞台で何度か見ている。独特の繊細な雰囲気で俳優として得がたいキャラだし、これまでの不思議少年の本公演の評判もよいようだったから、この公演には大いに期待した。
 だがこの舞台は、たまにチラリと才能のかけらが見えなくもないが、トータルとしては貧困なコンテンツを何とかごまかして見せようとする姑息な手管に終始した、つまらない舞台だった。

 弟が大ケガを負ったなら何で119番しないのか―という疑問はおいおい解けてはいくのだが、この3人がどういう状況で何をしたいのかはいっこうに見えてこない。
 3人が悪いことして金を手に入れて逃げていて、その金をなくしてオレオレ詐欺をせざるを得ないような状況に追い込まれているというのはどうにかわかった。だけれども、オレオレ詐欺がうまくいかずにアイドルが自首する決心をしてをして、それで終わるというのはあまりにもちょろい。そこに至るいきさつや思いは何も表現されてはいない。
 本筋に関係のないよけいなやりとりばかりでやっていて、肝心のことが表現されずに状況が見えないのに、途中から場面がリピートする。これは話を混乱させるだけで逆効果だ。

 そんなふうに見てくるとこの舞台は、よけいなことが多すぎて肝心のことがぼやけてしまっているとかいうレベルではない。観客に提示して受容されることを繰り返しながら、観客を飽きさせずにいかに引っぱっていくかとかいう、そういうテクニックの問題ではない。肝心のこと―コンテンツが貧弱すぎてテクニックではとてもカバーできないという、ほとんど致命的なレベルだ。

 この舞台は第2回ひた演劇祭参加作品で、きょうとあすで2ステージ。50席ほどの会場はかなり空席があった。


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