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《2012.9月−1》

神楽の楽しさ、タップリ
【京築神楽 九州国立博物館公演 (京築神楽の里づくり推進協議会ほか)】

1日(土)11:00〜15:35 九州国立博物館 ミュージアムホール 無料


 宮崎県の夜神楽は何回か観たことがあるが、地元福岡県の神楽はほとんど観たことがなかった。
 今回6回目を迎えるという「京築神楽 九州国立博物館公演」は、京築神楽をまとめて観られるチャンスなので出かけた。京築神楽の面白さを堪能できた。

 京築地区には30を超える神楽講があるという。今回の公演は、7つの市町村から7つの講が出演する。この公演での演目の上演順は奉納時の上演順をある程度意識したものになっているようだ。
 舞台中央奥には祭壇。その前に4、5メートルほどの正方形の角に竹を立て、注連縄が張られている。その正方形の中で演じられる。
 それぞれの演目が演じられる前に舞台上で、青豊高校書道部による神楽の演目の揮毫が、囃子に合わせて行われ、書きあがったものが舞台上手奥に掲げられる。

○散米(さんまい)・四人神楽(よにんかぐら)【元永神楽同好会(行橋市)】
 散米は清めの神楽で、四人神楽は鎮めの神楽。春夏秋冬を表す色鮮やかな男女2人づつの舞手がゆったりと歩き回りながら優雅に舞う。散米では祓い清めのための米を撒く。上演時間約30分。

○綱御先駆(つなみさき)【寒田神楽講(築上町)】
 鬼面の善神である御先が活躍する演目。天邇邇芸命の道案内に駆けつけた猿田彦、互いに顔を知らないから、敵と勘違いして争う。テンポが速くてダイナミック。勇壮な舞台で楽しめた。上演時間30分弱。

○盆神楽(ぼんかぐら)【黒土神楽講(豊前市)】
 舞手は1人。優雅な扇舞のあと盆を使った舞。盆に入れた米を、盆を立ててもこぼれないように回転しながら激しく舞う。短時間に300回以上回転して、盆の米をこぼさないでみごとに舞い上げた。上演時間30分弱。

○花神楽【南原神楽講(苅田町)】
 鮮やかな色彩の衣装の男4人の舞手が、神々を称賛する詩歌を奏上し切幣を撒きながら天下泰平を祈る。ゆったりとした優雅な気分にさせてくれる。上演時間25分。

○大蛇退治(おろちたいじ)【友枝神楽講(上毛町)】
 須佐之男命の大蛇退治の話。実質上演時間が40分という大曲。前半は須佐之男命と老人・老婆・姫との約束や手はずの話で、後半が大蛇退治の大スペクタクル。
 中に人が入って操る大きな大蛇が3匹。大蛇だけれど頭部だけ見れば、大きな角を持ち大きな口が顎までさけた龍。それが3匹束になって狭い舞台から溢れるほどに暴れまわる。3匹そろってのトグロとか鎌首とか、なかなか迫力で楽しめた。

○剱舞(つるぎまい)【土屋神楽講(吉富町)】
 男性1人による2本の剣を使った勇壮な舞。2本の剣をまとめて高速回転させたり、腹に突き立てたままで前転したりという動きもある。上演時間25分強。

○弓神楽【横瀬神楽講(みやこ町)】
 鮮やかな色彩の優雅な衣装の4人の神々が優雅な舞を舞ったあとに、四方に向けて矢を放つ。衣装と同じ色の長い布と、衣装の長い袖とを翻しながらの激しい舞が、きょうの公演のフィナーレ。上演時間25分弱。

 囃子はほとんどが、笛、太鼓、チャッパ(小型のシンバル)の3人構成で、舞台の上手・下手のどちらに座るかは講によって違った。
 非常にエンターテインメント性の高い演目が多く、とても楽しめる神楽だ。お祭りなどで野外で上演される京築神楽もぜひ観てみたい。
 この公演はきょう1回。立見が出るほどの盛況だった。


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