ていねいに作り上げられた舞台だが、脚本のできがイマイチだ。小ネタばかりが並置されているだけで、それらが結びついて立ち上がるところまで練り上げられていない。
演出は、デテールにやたら力を入れて小技ばかりを過剰演技で見せようとして上滑りになっていた。小ネタ・小技は楽しめないこともないが、平板で緊張感に乏しい舞台だった。
村おこしをしようという若者グループが、テレビで取り上げてもらおうとオカルト話をでっちあげようとしているところに、約束よりも2日も早くテレビ局のディレクターがやってくる。それも2人も。
舞台には旧家の居間が作られ、上手に押入れ、下手に飾り階段。途中で飾り階段から2階に上がられることがわかり、さらに押入れからも上がられることがわかる。2階は2つに分けられ、上手側がひきこもり男の居室で下手側の部屋とも行き来ができる。家はカラクリ屋敷になっていて、回転壁があったりする。
そのような家の仕掛けが明らかになっていくところは意表を突かれておもしろい。それに合わせるように状況が明らかになってはいくが、明らかになっていくだけで進展はしない。
12人という登場人物の説明に終始し、状況は停滞して平板なまま。推進力となるドラマの骨格が弱いために展開できず、小ネタ・小技に逃げ込んでしまったという印象になった。
脚本は、話がちんまいうえにわざとらしくて手前勝手で整合性に乏しい。
企画書もないような村おこしにキー局のディレクターがわざわざやってくるわけないじゃないか―というところから始まって、ラスト近くでやっと特定された裏切り者はどうやってディレクターに連絡したんだ―というところまで、そんな大きなところからもっと細かいところまでツッコミどころが多すぎる。本気で村おこしをしようとしていたのは中心となる女性1人だけで、あとはすべて村のことなどどうでもいいという消極的な裏切り者だったというラストのインパクトも弱い。
下らないやりとりに身を委ねて楽しみたいのに、意図を先取りして矛盾に目をつぶって舞台を受け止めてやって、納得できるように自分の中で再構成しなければならない、という観劇になってしまった。
そんな脚本の弱さを何とかしようと俳優たちは演りすぎていて、却って傷口を広げていた。一生懸命に強く激しく演れば演るほどウソっぽさが増幅する。普通のセリフでもそうだから、ムリヤリ膨らませたセリフではなおさらだ。
理屈にもならない理屈で自己主張する。大したことないものに驚き騒ぐ。肝心なところはスルーしてどうでもいいところで突っ込む。そんなふうにして絡まないキャラを絡ませる。そういうのがスラップスティックの常道なのかもしれないが、デテールに力を込めている割には発想が甘くて子どもっぽくて、俳優たちの魅力も十分に発揮されているとはいえない。
この舞台は福岡では10月31日から11月11日まで16ステージ。ほぼ満席だった。福岡公演終了後、大阪、宮崎を巡演する。