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《2013.10月−5》

多彩なテクニックを駆使したマイムパフォーマンス
【ミックスジュース (08 studio)】

作・演出:井上真鳳
6日(日)18:10〜19:05 H732シアター 1,000円


 パントマイマー井上真鳳の、サウンドに合わせ多彩なテクニックを駆使したパフォーマンスは、見応えがあって楽しめた。

 黒幕だけの舞台には、中央にスタンドに乗ったPCが1台だけ。登場した井上真鳳は、ぴっちりとした黒ずくめの衣装で、PCでサウンド操作しながらパフォーマンスを行う。「サウンドエフェクトマイムアート」というサウンドとマイムを組み合わせたパフォーマンスで、1時間弱のあいだに15演目近くを次々に演じていく。
 1500ものサウンドピースを使ったサウンドは多彩で、音楽以外に人が発する音や風雨などの自然の音を多く駆使する。サウンドの基調には心音が流れ、舞台全体が胎内にあるという趣だ。黒づくめの舞台上にそれほど強くない照明に浮かび上がった井上真鳳は、鍛え上げられてた身体と工夫された表現で、パフォーマンスの世界に引き込んでいく。

 それぞれの演目は、「妖怪人間」「赤ずきん」「ピンクパンサー」「ネジ巻人形のラジオ体操」「結婚式」「セルフタイマー」「おじいさんの時計」「戦争ロボット」「オルゴール人形」など(演目の題名は便宜的につけているもので正規のはない)で、比較的短い作品が多い。
 マイムの基本的な表現を基本にしてはいるが、サウンドの多用のほか、若干の小道具を使い時に衣装も替えて、とても短い形態模写作品でもちゃんと広げた上でオチをつけ、少し長い作品でストーリーがある戦争ロボットやオルゴール人形では、きっちりとペーソスを感じさせてくれる。
 きょうのパフォーマンスでは短い作品が多かったが、井上真鳳はこのスタイルで「竹取物語」「リチャード三世」「道成寺」「ワーニャ伯父さん」などの名作をパフォーマンスに構成し直して海外でも評価を受けたたという。

 この舞台は今回の国際コメディ演劇フェスティバルではきのうときょうで4ステージ。観たステージは今回の国際コメディ演劇フェスティバルのラストを飾るステージだが、観客は10人弱で、パフォーマーに申し訳ない気持ちだった。
 カーテンコールで、今回が第1回目の国際コメディ演劇フェスティバルを立ち上げたMR.BUNBUNにファンから花束が贈られていた。


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