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《2013.10月−17》

パワフルなショーにもぅ満足
【REON!!U (宝塚歌劇星組)】

作・演出:藤井大介
26日(土)15:30〜18:20 博多座 2,800円


 柚希礼音スペシャルライブ「REON!!U」は、宝塚歌劇では珍しい2時間半の全編がショーという作品だが、多彩な演目をスピーディな展開で見せるみごとな構成のパワフルなショーだ。ビッシリ詰まった柚希礼音の魅力を堪能した。

 「REON!!U」は2部構成で、第一部が「RE(再び、あとに)」、第二部が「ON(〜に向かって)」という意味合いを持つ。昨年春に上演された「REON!!」をバージョンアップしたショーだが、基本構成は変わらないようだ。
 第一部、第二部ともに3つほどの場をゆるく設定していて、ショーの場では場の設定に沿って数曲が歌われ踊られ、それに第一部では「ちえちゃん」というお茶の間劇の回想シーンが、第二部では2人が劇場案内係に扮したコント的なシーンがあって、うまく緩急をつけている。

 高速セリで柚希礼音がものすごくかっこよく登場するオープニングから、ショーは怒涛の展開だ。
 まずは顔見せ的に3曲を多彩なフォーメーションで見せる。圧巻の27人の星組全員が踊る曲から、男役だけ、女役だけ、数人、ペアでの群舞などの曲がめくるめく展開して、宝塚歌劇の世界にもっていかれる。
 白のワンピースの清楚な少女が登場して柚希礼音と少し絡んだあと「バーレスク」が始まる。少女はストーリーテラーのようにあと幾度も登場する。「バーレスク」は、色っぽいダンスの動きがすばらしい。ペアダンスの女性役が柚希礼音だったが、あれは夢だったのか。
 記憶の少女が案内する夢の世界、次は「昭和の大阪」、柚希礼音の少女時代だ。家族4人の卓袱台コントが繰り広げられる後方の大きなスクリーンに「ちえちゃん」の写真が映し出される。子どものころめちゃ可愛くなくても、大きくなったらここまできれいになるんだ。
 記憶の少女が登場して次の「ホストクラブ」へ。ここでは柚希礼音の金のヘアにラメの服で足まで出した“女装”が見られるが、それがみごとに男性が女装しているとしか見えないようなどっしりとした存在感まで出ているのがすごい。第一部のラストは「自分の影から自由になりたい!」と土砂降りの雨(本水)の中で絶望する柚希礼音を見つめる記憶の少女、で、幕。

 休憩が終ると2階バルコニー席付近から観劇上の注意事項をしゃべる劇場案内係の女性が。それを引き取る1階の劇場案内係は内輪話をしゃべった上で、観客にリアクションの指導まで始める。2階のマルコと1階のベニ子はオカッパ頭でガラッパチなオカマの雰囲気。この幕開きで10分間も客を笑わせリラックスさせる。
 柚希礼音が登場すると、スクリーンに音楽学校や入団してからの映像を流しながら4曲ほどでこれまでを振り返る。そのあとまた、マルコとベニ子がお客を連れてのドタバタトークで笑わせる。そのあとラテンっぽい曲を数曲やってから、柚希礼音のトークタイムでは振付されて客席全員立ち上がって踊らされる。
 柚希礼音が出演したすべてのショー作品の主題歌のさわりを集めた「レオンズ ショー メドレー」では20曲も歌い踊り、そのあと全員出演で「ライジングサン」。アンコールは「ストーリー」とさらに1曲。カーテンコールも伸びて終演が予定より15分も遅れた。

 生演奏のショーに、楽しくてうっとり。ショーだけだと宝塚臭が弱まり、ダンスと歌のうまさが際立つ。
 この舞台は博多座では16日から28日まで20ステージ。満席だった。


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