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《2013.10月−18》

秋祭の奉納浮立は楽しい
【米多浮立 (米多浮立保存会)】


27日(日)12:05〜16:05 上峰町前牟田地区


 佐賀県上峰町前牟田地区の米多浮立(めたふりゅう)奉納の2日目の“お上り”を観た。3ヶ所での奉納と移動中の道浮立などたっぷりと4時間、浮立が奉納される老松神社の秋祭を楽しませてもらった。

 米多浮立は、2年に一度、前牟田地区の老松神社の秋祭に2日間にわたって奉納される。「天衝き」と呼ばれる大きなかぶりものを使う「天衝き舞」が特徴で、佐賀県重要無形民俗文化財に指定されている。
 きのうの初日が“お下り”で、瑞応寺跡の観音堂前で打ち出し奉納して老松神社と若宮神社(老松神社の下宮)で奉納する。きょうの“お上り”は若宮神社と老松神社で奉納して瑞応寺跡の観音堂前での打ち込み奉納で終る。各奉納場所へ移動する路上では、楽の演奏の「道浮立」が演じられる。

 若宮神社に着いたらまもなく、正午からの奉納が始まった。若宮神社境内での奉納では、「本囃子」(「天衝き」を使った舞)4番のあと、ここでしか舞われないという「なまず舞」3番が舞われた。
 「本囃子」は、「天衝き」を被った3人の若者によって舞われる。「天衝き」というのは、三日月形の両端を長く引き延ばして上方で結んだというもので、高さは2mを超える。下部に付けた帽子状の物を被って紐で頭に縛って固定するのだが、不安定で舞手は「天衝き」から両手ともの手を放すことはできない。大太鼓を打つようなときは他の人に支えてもらわないと倒れてしまう。「天衝き」には、太陽、月、星が書かれていて、第1番で米と塩とイリボシを撒くのは太陽の役割だ。3人の舞いは「天衝き」を水平に振り回したりとダイナミックで見ていて楽しいが、舞うのは大変だろう。
 「なまず舞」は「天衝き」ではなくて兜をつけた舞い手が、腰を落としてグルグル廻るのが特徴の舞だ。「本囃子」と同じ8拍子の繰り返しだが、打つ拍が異なる。
 囃子方は、笛5、6人、大太鼓8人(うち3人は舞も舞う)、鉦10人、ムラシ(太鼓)10人(女子小学生)、ササラ10人(女性未就学児)、サイフリ10人(男性未就学児)というのが大体の構成で、華やかでにぎやかだ。若宮神社境内での奉納は約1時間だった。

 若宮神社での奉納が済むと、老松神社への道行が始まる。露払いと代表を先頭に、神主、鏡持ち、舞い手、囃子方、鞍を積んだ軽トラック、神輿、提灯・吹流し・面が長く並んで出発。地区の道を通り、途中何度か5分ほどの「道浮立」を披露する。休憩所で一休みして老松神社到着はほぼ1時間後。
 老松神社では神事のあと、「本囃子」3番、「まくり」(小謡が入る)3番の奉納があり、さらに、境内にある大森神社に「本囃子」1番、「まくり」1番の奉納があって、きょうの最後の奉納場所である瑞応院跡の観音堂前までの道行に移る。
 瑞応院跡の観音堂前では「まくり」3番の奉納があって、終ったのは午後4時だった。

 2時間くらいからだんだん祭の雰囲気になじんで、気持ちよくなってくる。
 それにしてもそれぞれの役の方は昨日も4、5時間奉納し、奉納の準備も入れたら長時間かかっている。すごいスタミナだ。
 2日目のため写真愛好家が減っていたようだが、それでも見物の半分くらいを占める。上峰町前牟田地区は佐賀平野のど真ん中で、とても豊かな感じのする地区だ。天気に恵まれて、いいお祭を見せてもらってありがたかった。


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