アリーナ・コジョカルは、ルーマニア出身のバレリーナで、英国ロイヤル・バレエ団入団から1年5ヶ月でプリンシパルになったのが19歳のとき。2013年7月まで12年間プリンシパルを務めた。現在はイングリッシュ・ナショナル・バレエのリード・プリンシパル。
「アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト2014」は、そんなコジョカルが仲間の世界的なバレリーナと作る舞台で、その華麗な個人技がたっぷりと楽しめた。
出演は、アリーナ・コジョカル(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)、吉田都(元英国ロイヤル・バレエ団)、ローレン・カスバートソン(英国ロイヤル・バレエ団)、ヤーナ・サレンコ(ベルリン国立バレエ団)、日高世菜(ルーマニア国立バレエ団)、ヨハン・コボー(ルーマニア国立バレエ団 芸術監督)、スティーヴン・マックレー(英国ロイヤル・バレエ団)、ワディム・ムンタギロフ(英国ロイヤル・バレエ団)、ダヴィッド・チェンツェミエック(ルーマニア国立バレエ)、イサック・エルナンデス(オランダ国立バレエ団)の10人。
演目と出演者は次のようになる。
○「眠れる森の美女」より ローズ・アダージオ (振付:マリウス・プティパ)
出演:アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ、堀内尚平
○「エスメラルダ」 (振付:マリウス・プティパ)
出演:日高世菜、ダヴィッド・チェンツェミエック
○「ノー・マンズ・ランド」より パ・ド・ドゥ (振付:リアム・スカーレット)
出演:アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー
○「ドン・キホーテ」 (振付:マリウス・プティパ)
出演:ユルギータ・ドロニナ、イサック・エルナンデス
○「ラプソディー」 (振付:フレデリック・アシュトン)
出演:吉田都、スティーヴン・マックレー
○「眠れる森の美女」より グラン・パ・ド・ドゥ (振付:マリウス・プティパ)
出演:ローレン・カスバートソン、ワディム・ムンタギロフ
○「オランダのための2つの小品」 (振付:ハンス・ファン・マーネン)
出演:ユルギータ・ドロニナ、イサック・エルナンデス
○「アイ・ガット・リズム」 (振付:スティーヴン・マックレー)
出演:スティーヴン・マックレー
○「真夏の夜の夢」より 結婚式のパ・ド・ドゥ (振付:ジョン・ノイマイヤー)
出演:アリーナ・コジョカル、ダヴィッド・チェンツェミエック
○「海賊」ディヴェルティスマン (振付:マリウス・プティパ)
出演:アリーナ・コジョカル、ローレン・カスバートソン、ヤーナ・サレンコ、日高世菜、ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ、ダヴィッド・チェンツェミエック、イサック・エルナンデス
バレエ公演はなかなか観ないし、バレエの表現テクニックについてもよくわからないから、もっぱらその美しさを素直に感じ取るようにして観た。名作バレエの名場面をピックアップしたガラ形式の舞台で、10人の一流のバレエダンサーが名作のさわりを踊る。その完成度の高い舞台を目の当たりにして、ほんとうに夢見心地だった。
ガラ形式の舞台だから、背景幕があるのは「海賊」ディヴェルティスマン だけで他は裸舞台で、全演目ともずらりと並ぶコールドバレエはおらず、衣装も簡略化されているところがあって、踊り手の際立つ技量やその身体性を感じやすいのはいい。
コジョカルは趣の異なった4つの演目に出るが、特に「ノー・マンズ・ランド」の繊細で情感溢れる踊りがすばらしかった。吉田都もそうだが、やや小柄で身体的には恵まれているとはいえないところを、たくさんの情報を詰め込んだ多彩な動きでカバーする。そのときにどこか則を超えたような極端とも見える敏捷な動きに心が引き掻かれる。
出演者全員がすばらしい技巧を披露する。「オランダのための2つの小品」のユルギータ・ドロニナとイサック・エルナンデスのすばらしい動きには息を呑む。「アイ・ガット・リズム」のスティーヴン・マックレーのタップソロには、バレエにこんなのもあるのかとビックリした。
このような公演の場合には、演目と出演者について予習しておいたほうがさらに楽しめる。今回の反省だ。
この舞台は福岡ではきょう1ステージ。わずかに空席があった。