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《2014.10月−2》

多彩なダンスで、得した気分
【枝光ダンコレ!! (枝光まちなか芸術祭実行委員会)】

振付:石井則仁/北尾亘/鈴木ユキオ
11日(土)14:10〜15:30 枝光アイアンシアター 1,500円


 北九州の枝光で開催中の「枝光まちなか芸術祭」の中の「枝光ダンコレ!!」という催しで、石井則仁、北尾亘、鈴木ユキオによる即興ソロダンスということだったが、実際はそれぞれが主宰するDEVIATE.CO、Baobab、Y_ukio suzukiのメンバーの参加もあって、多彩なダンスが楽しめて得した気分だった。

 「枝光ダンコレ!!」は昨夜の光の家での公演に続いての2回目の公演で、きょうの公演は当初は屋上でのダンスということだったが、枝光アイアンシアターの建物を会場にということに変更された。25人ほどの観客は、階段、2階、屋上と、移動しながらダンスを観ることになった。

○石井則仁+小池陽子(DEVIATE.CO)
 1階から2階への階段を使ってのダンス。階段折り返しの踊り場にPCとスピーカーを置いて、その音楽に合わせて即興で踊る。観客は階段や踊り場で観る。
 下方の階段に這いつくばるようにして踊り始める石井則仁は、スキンヘッドで上半身ハダカ。中央の踊り場で踊り始めた小池陽子は、観客を動かしたり観客に抱きついたり観客の靴紐をほどいたりしたあと、手すりの上を上の踊り場へ。階段を昇る石井則仁の背中は艶があって実にかっこいい。
 ほとんど階段を使って縦横無尽という感じのダンスで、ときにアンドロイド風の動きも。ラストは2人絡んで石井が小池を背中に乗せて降ろす。ここまで上演時間20分弱。
 そこから2階の鏡のあるケイコ場に向かい、全員で前の人の肩をもって列を作ってのダンス。そのまま細い通路を通って空調機械室へ向かう。

○石井則仁+小池陽子+北尾亘
 空調機械室をノックすると中には北尾亘が。狭い機械室の空きスペースに観客が収まると、3人のダンサーは空調の機械やダクトに登ってドンドンと叩いたり頭をぶつけたり。音楽はなしだが、3人の息はピッタリ。上演時間5分強。

○北尾亘(Baobab)
 比較的広い部屋にはかなりの部分畳が敷かれていて、その上のふとんに男4人が寝ている。観客は奥のところに並んで観る。狭いパフォーマンススペースに風を当てるべく4台の扇風機にスイッチを入れるが、4台目は動かない。音楽は速いテンポのリズムいい女性ボーカル。
 その音楽に合わせたユーモラスで動きの激しいダンスが終ると畳の上に上がって行って寝ている人をいじる。そして畳の上で音楽なしのダンスのあと、チェンバロ風の音楽に合わせて寝転がったり倒立したり。全体的に高い身体能力を見せつける。上演時間15分強。

○鈴木ユキオ+安次嶺菜緒+堀井妙子+赤木はるか(Y_ukio suzuki)
 枝光アイアンシアターの屋上はけっこう広くて、長辺は25メートルほどもある。その屋上スペースだけでなく、塔屋の上までも使う。屋上からはスペースワールドや皿倉山が望める。スペースワールドの巨大コースター・タイタンVの乗客の歓声・悲鳴が聞こえてくる。
 はじめに、屋上長辺を目いっぱい使った鈴木ユキオのソロが10分ほど。端から出発して、踊りながら反対側まで。跳ぶことはほとんどなくて足は床に着いている。腰の高さも大きくかがむ場合などを除いてほとんど変わらない。その体勢で手足をときにゆったりとときに敏捷に動かす。姿勢はまったく崩れない。こういうのを体幹がしっかりしているというのだろう。
 屋上長辺の部分に適当な距離を置いて 安次嶺菜緒・堀井妙子・赤木はるか が登場。鈴木ユキオはハシゴを登って塔屋上に出る。3人の女性ダンサーは身体全体を使ったダイナミックな動きで、ハイテンポな曲から無音のなかでの静謐な踊りまでみごとに見せる。これが10分ほど。
 3人の女性ダンサーたちも塔屋に登っていく。英語の演説が流れるなか、鈴木ユキオも含めた4人は手を叩いて後ろへ倒れる動作を15回ほども繰り返す。女性ダンサーの1人がナチス式敬礼をした。演説にかぶって君が代が聞こえた。この塔屋上のダンスが約15分。この屋上でのダンスの上演時間は約30分だった。

 「枝光ダンコレ!!」のあと、仙台のダンスグループ・すんぷちょの西海石みかささんによる「1時間の認知症学習会inアイアンシアター」というのがあったので参加した。


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