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《2015.1月−6》

古典と新作取り混ぜてたっぷり
【国博新春寄席 (九州国立博物館)】

構成:昔昔亭桃太郎
12日(日・祝)12:05〜13:50 九州国立博物館 ミュージアムホール 無料


 国博新春寄席は、昔昔亭桃太郎師匠と弟子の二つ目・A太郎とで、古典と新作取り混ぜて4席、たっぷりと楽しんだ。

「罪と罰」(昔昔亭A太郎)
 長電話中の主婦のところに強盗が包丁を持って入ってくるが、包丁売りとまちがえられて強盗は料理をする羽目に。
 口演時間約20分だがまくらが半分ほどを占めるのでそれほど長くない新作落語だ。桃太郎師匠の作かと思ったがそうではなくて、加藤由子さんという女優さんの作のようだ。子どもに騒がれて集中力を欠いたか、やや単調だった。

「茶の湯」(昔昔亭桃太郎)
 隠居所で暮らしているご隠居、たいくつでしかたがないので小僧と茶の湯を始めるが、やり方を知らない。青黄粉を椋の皮で泡だてた茶もどきと、サツマ芋を漉して蜜で練って灯油を塗って抜いた饅頭もどきとをいやがる客にふるまう。
 作法を知らないから夜逃げしようとする人が出るところなど笑わせはするが、まぁいちばんガツンとくるのは茶もどき、饅頭もどきの気色の悪さだ。桃太郎師匠はそのあたりのところをねっちりと聴かせる。口演時間約25分。このあと中入り10分。

「お菊の皿」(昔昔亭A太郎)
 「皿屋敷」の話を聞いて町内の連中が今でも出るならと見に行ったら、いい女のお菊の幽霊が出たが、6枚を聞いて逃げ帰ってきた。翌日から見物人が増えて屋敷跡は満員に。
 A太郎のことを桃太郎師匠はイケメンだと言うけれど、さほどイケメンとも思わない。むしろ個性がないようにさえ見える。噺の運びも単調で個性が弱い。口演時間20分弱。

「カラオケ病院」(昔昔亭桃太郎)
 桃太郎師匠の師匠・5代目春風亭柳昇による新作落語。患者の減少に悩んでいる総合病院で、起死回生の策として患者がノドを競い合う「カラオケ大会」を院内で開催する。
 医者の欠勤理由や“チュウシャ禁止”の看板の話など笑わせるが、いちばんは患者が自分の病気と絡めて歌う替え歌のカラオケ。カゼ患者の「星影のワルツ」、妊娠した女高生の「先生」、胃と肝臓が悪い患者の「有楽町であいましょう」、恋わずらいの人の「岸壁の母」、桃太郎追っかけ病患者の「雪国」、痔持ちの「お久しぶりね」の6曲で、桃太郎師匠がややだみ声で歌う替え歌の歌詞がバカバカしくて笑わせる。ちょっと歌が古いけどね。口演時間25分弱。

 この公演はきょう1ステージ。少し空席があった。通ってきた大宰府天満宮は初詣の人でにぎわっていた。


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