福岡演劇の今トップへ トピックインデックスへ 前へ 次へ


《2002年11月26日》

裸をさらす快感に近いのかな

〜ホームページ「福岡演劇の今」の開設から一年が経った〜


 演劇感想ホームページ「福岡演劇の今」を始めてからほぼ一年が過ぎた。自分の勝手な感想を掲載するだけのサイトだが、福岡ではほかに類似のサイトがないこともあり、多くの人に見てもらうようになった。
 同じようなサイトがいくつかあれば、自分の見方のいびつさもわかる。このようなサイトを考えておられる方の参考になることも勘案しつつ、この一年を振りかえってみる。

【きっかけ】

 演劇感想のページはありそうでなかなかない。
 福岡に帰ったのをきっかけに、このサイトからもリンクしている「演劇◎定点カメラ」のようなサイトを作りたいと思った。「演劇◎定点カメラ」は日本の最先端の舞台をみごとにフォローしているが、その労力と費用は趣味の範囲を大幅に超えている。福岡なら東京ほどの公演数はなく、趣味の範囲でやれるのではないかと考えた。
 「福岡演劇の今」のサイトを立ち上げたのは2001年9月だが、サイトに載せる感想は4月から書き溜めた。

【観る作品の選択】

 タダでいいから観てくれと言われても観たくないという芝居ももちろんあるが、観たいと思う対象は広い方かなと思っている。歌舞伎、ミュージカル、舞踏、演芸、民族芸能などにも興味がある。
 上演情報は、チラシ、地域情報誌、ホームページからがほとんどで、口コミは知り合いが少ないこともあって少ない。細大漏らさずというのはむずかしいのは、県内の公立ホールの自主公演の情報がなかなか入らないことで、あとで知ってくやしい思いをすることがときどきある。
 福岡の劇団の場合は大体において公演日が土曜、日曜に集中しているのはありがたいが、集中しすぎて困ることもたまにある。そのような場合を含めて、観る作品選択の優先順位は、オリジナルを優先することを原則としている。いくらいい名作戯曲の上演でもその創造性においてオリジナルにはかなわないと思っている。若手劇団のほとんどがオリジナルに取り組んでいるのはいいと思う。

【サイトの内容】

 サイトの内容は、芝居の感想が中心ではあるが、管理人のページとして今までに観た芝居の一覧やセミナー記録、旅行記などを掲載するつもりだがまだ果たせていない。
 管理人のページに2002年4月から開始した「面白かったこと」というコーナーには、映画や本などで面白いと思ったことを短くまとめて掲載している。
 2002年10月から「Tokyo生活百科」という娘のコーナーを開始した。自分のホームページを持ちたくないという娘への腹貸しで、メールで送ってきた文書ファイルを私がアップする。

【感想のまとめ方】

 感想の基準は、面白いと思うか思わないかということだけだ。
 面白いものが結果として創造性が高かったということで、感想はそこに若干の考察を加えるというパターンだ。ただし、その舞台作りでどこまで付加価値を付けたかが考察のポイントなので、既存戯曲の上演には履いているゲタの高さを考慮する。
 まとめる形は、5つの段落を原則とする。@全体的な評価を短く Aあらすじ B脚本の評価 C演出、演技の評価 D客席の様子 となっている。この段落分けの形を決めておかないと、たぶん何倍も労力がかかるだろう。サイト上では、それぞれの段落の間を1行空けて見やすくしている。

【具体的な書き方】

 芝居に対しては、観ていても大した考えは出てこないけれど、とにかく知力は総動員して観る。どこまでも一生懸命観る。たかが感想だが作る側への礼儀でもあり、最低それだけはする。
 書く上では決して他の劇団と比較しないこと、それを心がけている。

 見てもらえばわかるように、感想ではあるがその依って立つ根拠はなるべく具体的に書くように心がけてはいる。しかし、きっちりロジックを積上げたり、作品の全体をカバーして論じることまではなかなかできない。当然、穴だらけで舌足らずだ。
 だから言葉尻を捉えて反感を持たれても困る。ご意見はありがたいが、感情的なものが多いのも困りものだ。具体的に語っていただければ意見交換の糸口になる。

 内容については、正直なだけがとりえだと自分では思っている。しかしこの正直というのが実はけっこう恥ずかしい。
 他人に本棚を見せるのは、裸を見せるような恥ずかしさがあるという。正直なだけがとりえの感想を他人に読まれるのは、本棚を見せるよりももっと恥ずかしい。知識不足、理解力不足、偏見、好き嫌い、表現力不足 等々がモロに見えてしまう。笑われるのを覚悟のうえだ。正直とはいっても、強がり、知ったかぶり、怒り、揶揄、挑発、軽視、ちょっとした自慢 等々が紛れ込む。結果、中傷だとか暴言だとかいうメールや無言メールをいただくことになる。
 しかしここまで来て、この頃はどうも裸をさらすのが快感になってきているのかなという気がしないでもない。

【ノウハウと費用】

 ホームページ作成に関する私のノウハウは低い。費用は、ホームページのためだけの費用としてはほとんどかかっていない。
 ホームページ作成のノウハウについては、参考書「はじめるホームページ HTML編」(翔泳社発行 1400円)がすべてだ。しかもその中に書かれた基本的な機能の中でも、箇条書きの機能は使っているがテーブルの機能は使っていないというレベルだ。WEBのデザインに凝るつもりはないからそんなレベルで十分だし、ホームページが重くならないから却っていいのではないかと思っている。

 ホームページ作成の費用については、上記の参考書代のほかには秀丸エディタのライセンス料4000円だけ。センターにアップロードするためのソフトであるFTPはFFFTPを使っているがこれはフリーウェアなのでライセンス料は要らない。パソコンの購入費用を除けば、計5400円がホームページ作成に必要な初期費用になる。ちなみにパソコンは、3年前にDELLのアウトレットでモニター込み70000円強で購入したものを使っている。

 ホームページの維持費用については、毎月のプロバイダ料が約500円、毎月の電話代が約500円、これだけだ。センタとの接続は一般電話回線利用で、感想をセンターに送るのは確認も含めてメールチェックと並行してやるから1日3分以内でほとんど済む。これらの費用はホームページを持つかどうかにかかわらず必要なものだから、ホームページだけの維持費は0円に近いかなと思っている。
 私はプロバイダはドリームネットを使っているが、無料プロバイダを使えばプロバイダ料は要らなくなる。ドリームネットでは既成の掲示板の機能が提供されていないので、いただいた意見が即掲示されるようにできないのが少し不満ではある。

【反応】

 なんだかんだ言っても、作った以上はやはり多くの人に見てもらいたいという気持ちは当然働く。だからアクセス数を増やす努力はけっこうする。演劇サイトにリンクをお願いしたり、感想を掲載したら劇団にメールで知らせたりする。
 福岡だと演劇関係者の数などから考えて、とりあえずの目標は月間1000アクセスぐらいかなと考えていた。半年間ほどで月間1000アクセスに到達しここで安定かなと思ったら、シティ情報ふくおかに掲載していただいてあっという間に50%増しになった。その後E−1グランプリのオーディションの講評のときしゃべったらまた増えた。このところは月間2500アクセス〜3000アクセスというところだ。
 このアクセス数はできすぎだと思う。福岡だからこそ私のホームページのようなものでも注目してもらえるのだと思う。

 いま福岡に類似のサイトがないのが不満だ。
 他にないから座標軸のようにみなされてしまうところがあるようだ。だから中傷だとか暴言だとか言われるのかと思う。でもたかが個人の感想だから、そこまで目くじらを立てることはない。
 でも、歯の浮くようなアンケートの答えに慣らされた劇団にとっては、少しくらいカチンと来たほうがいいのかもしれない。

【今後】

 先のことはわからないが、このままとにかく続けていきたいと思う。もっともっと芝居を楽しみたいから。

【「演劇の友人」を増やそう】

 中野翠のいう「映画の友人」(映画命というのではなくて映画に対し友人のように好きな作品を月4本〜5本楽しむ人のこと)ではないが、月2本〜3本の芝居を観る「演劇の友人」がもっと増えればいいと思う。そのためにも演劇の楽しさを語り合う場があればいい。
 ホームページの作成はそれほどむずかしいことではないので、自分の感想を掲示してもいいという方はぜひサイトを持つことを考えていただきたい。私自身のスキルは低いが、まわりにはプロがいっぱいいるので、連絡いただければいろいろ助言もできると思う。  自分でホームページ持つのがいやだという方は「福岡演劇の今」の1コーナーとして「○○さんの感想」というコーナーをもってもらって、手紙などでお送りいただいて掲載するという形でもいい。ご検討いただきたいと思う。


福岡演劇の今トップへ トピックインデックスへ 前へ 次へ