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《2001.4月−1》

ひょっとして福岡を象徴か
【うそばっかり。 (ケ カリーノ・ケ カリーナ)】

サンバイザー:荒巻久登
6日(金)19:00 ぽんプラザホール 1800円


 福岡に戻って初めて観た「うそばっかり。」はひょっとして、戯曲と演技において、今の福岡の演劇状況を最も端的に表しているのではないかという感想を持った。2年間のブランクのあとのこの感想があたっているかどうかは、これから検証していくことになる。

 ケカリーノ・ケカリーナは女優4人のユニットで、今回の公演は福岡在住の劇作家に委託した15の短編戯曲を4人の女優と客演の男優が演じるというオムニバス形式の上演だ。福岡の新しい芝居の書き手が競作するという画期的に面白い試みで、楽しめる公演になっている。

 15の作品はコント風のものまで含めて多様で、脚本として対話の面白さなど小技は利いている作品が多いが、面白さのレベルはまちまちだ。しかし、強烈な個性があって、突き抜けていて唸らされると作品というのは残念ながらなかった。
 しかし、新しい書き手がぞくぞくと現れてきていることは頼もしいかぎりだ。
 小玉仁「キスは少年を浪費する」、梶原俊治「さちこ同盟」、タブチヒロユキ「全裸嬢の虜」と、全体の縦串の役割の大塚ムネト「誰が幸せでショー!」が面白かった。

 演技者についてだが、4人の女優は個性的で表現力豊かだ。柔軟性があって変なくせがなくていい。戯曲の読取りが的確で、表現も幅広いが、とらわれず試行錯誤のあとがうかがえる。結果、いろいろな役をテンポよく演じ分けていく様は気持ちがいい。
 こんな女優が活躍しているなら、演技者のレベルはずいぶん上がっているのではないかという期待がふくらむ。

 作品の一覧は、「テンパる」岸原剛、「少年はキスを浪費する」小玉仁、「Carry Me!」黒木香織、「ゲマインシャフト」福永郁央、「カーナビ」関村俊介、「さちこ同盟」梶原俊治、「派手なブラジャーの女」岡本啓充、「台無し」川原武浩、「全裸嬢の虜」タブチヒロユキ、「誰が幸せでショー!」大塚ムネト、「結婚の儀」森貴史、「私たちの西遊記」広瀬健太郎 である。


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