楽しめるひとり芝居だ。
世界平和協会の工作員が死の商人組合の陰謀を暴くために、熊本、ベルリン、チベットと、死の商人組合の妨害を受けながらそれを打倒する手だてを求めて、ついには死の商人組合を壊滅するというのがストーリーだ。
それをひとり芝居でやるわけだから何でもありで、テンポが速く、時事ネタ、ダジャレ、ナンセンスにクククと笑ってしまう。その笑うところが観客によってけっこう違うから、いろんなものをいろいろ詰め込んでいるのがわかる。説明している暇はないからここでは徹底的に既存のイメージを利用する。それらのことばが機関銃のごとくしゃべられる。
それほど長い芝居ではないが単調にならないための工夫もされていて、工作員の「正規バージョン」から状況によって「あほバージョン」に切り替えるところなど、手法としても面白く笑ってしまった。
そのような戯曲や演出上の工夫も多いが、なんといってもこの芝居のいちばんの魅力は長岡暢陵の演技だろう。体・顔の表情・声を駆使した演技の幅の広さと舞台での変わり身の速さが魅力だ。
気になったのは、終盤長々としゃべられる雲古がトラウマになったことを説明する工作員の雲古談義だが、やや偽悪的過ぎるような気がする。品を落としたことを非難するわけではないが、見ていてあまりいい気持ちはしない。
バカダミアン・ソロというのはプロデュース公演かと思うが、このような作品を定期的に上演してくれれば楽しみも増える。長岡暢陵の演技の今後にも期待する。