松本幸四郎の弁慶を観るために、ミリカローデン那珂川まで松竹大歌舞伎を観に行った。上演は「源氏店」と「勧進帳」だ。
まず「勧進帳」について、幸四郎は資質的に弁慶役者ではないと思うが、それを表現の幅でカバーしており楽しめた。
弁慶役者でないというのは、どっしりとした剛毅さに欠けるかな思うからだが、役の読取りがきちんとなされ、それをメリハリのある演技でうまく表現していた。主・義経への忠誠心と弁慶自身の責任感で、なんとか安宅の関を乗り切ったものの、これからの長い旅路に馳せる思いが、終幕の飛び六方にあらわれていた。
富樫の中村梅玉にはもう少し気品がほしい。
「源氏店」は、中村梅玉、中村松江はまあいいが、他の役者がきっちり決まらず、たいくつで眠かった。世話物のためもあろうが、リアルな演技ほど役者の技量の差が現れるようだ。
今回の大歌舞伎は、幸四郎の一枚看板と言ってよく、「中」歌舞伎といったところだ。「勧進帳」も長唄5人、三味線5人といったこじんまりした構成だ。
しかし、比較的小さな会場でじっくり観られるのはいい。B席14列41番(14列目の右から2席目)で1600円は安い。
会場のミリカローデン那珂川は福岡市内からは不便だ。地元の人が車で来ることを前提に作られている。
博多駅から博多南駅の本数は少なく、さらにそこからはバスだが、時間がなくてタクシーを使ってしまった。帰りは無料バスが運行されたが、博多南駅で博多行きと連絡しているという運転手のアナウンスは嘘で、博多南駅で降りて立ち往生。結局大橋駅までバスで出たが時間がかかってしょうがなかった。あ〜あ。