砂漠と4畳半が繋がったという、大きな骨格のドラマが多彩に展開するのではないかと期待した。しかし、くだらない饒舌がドラマを食い潰してしまい、つまらない作品になってしまった。
饒舌は饒舌でもかまわない。饒舌そのものが面白いか、饒舌がドラマを引っぱるならまだいいし、その積み上げが別の世界を現出させるレベルまでいけるなら大いに結構だ。しかし、この作品の饒舌は、レベルが低すぎて味がなく、それらのいずれも至っていない。
3人の居候が千円の買い物をすることをどうひねくりまわしてもどうしようもあるまい。出てくるダンスはマイムマイムではあんまり発想が貧困すぎる。砂漠の世界へ繋がりようがない。
結局、何も積み上げられず消費するばかりだ。俳優さえも消費されてしまった。
終幕近くの柱の途中が吹っ飛ぶ仕掛け、終幕のペットボトルが大量に落ちてくる仕掛けも、ドラマが食い潰されたあとではいかほどの衝撃もない。
売りである1.8m×1.8mの狭い空間での上演についても、例えば「審判」の上演にどれほどのスペースが要るかを考えればとても意味があるとは思えず、つまらない挑戦だと思った。
前作がよかっただけに、大きな失望になったのかもしれない。次回作を期待したい。