ひどい! どうしようもない脚本だ。原作者が文句を言わなかったのが不思議だ。
準主役の元やくざの殿村、後輩をやくざから足を洗わせるために、最後のしごとと称して後輩と一緒に殺しを請負い(ギョッ!)、相手のやくざを3人も殺す(またギョッ!)が後輩も撃たれて死ぬ。
それでも警察には捕まらない(なぜ?警察はバカじゃない!)で、ホームレスになる。
そこで仲間の金を盗んだ嫌疑をかけられたら、あっさりと前にいた組のやくざに戻る(エーッなんで?)がそれでも警察には捕まらない(わからない!)。そこでなんと覚せい剤の売人(またまたギョッ!)をして金を貯めて、その金をホームレスの女性に渡して(アホか!)死ぬ。
自分の責任でもない大した額でもない金のために覚せい剤の売人をやるのか。しかも少し前のシーンで、覚せい剤の売人をしていた後輩をかっこよく戒めたばかりなのに。
金を渡したら苦しくなって倒れるのだが、救急車も呼ばず誰も脈もとらずにスケジュールどおり死んでいく。
どうでもいいことのために犯した殺人や覚せい剤密売の罪が不問に付される(理不尽!)だけではない。その遺体は教会に安置されなぜか英雄扱い(超理不尽!)だ。
自分探しの過程では破綻もあろう。しかしここでは、「自分探しのためなら犯罪などの不道徳や変節も許される」としか取りようがなく、何だこれは?と腑に落ちないことおびただしい。
若干の荒唐無稽さなら場合によっては必要なこともあり納得もしよう。しかしこの作品のどうにもならない荒唐無稽さ、支離滅裂さは、許容範囲を大きく超えていて見るに耐えない。
以上のように、脚色者の感覚は理解に苦しむ。技術論以前の常識の問題だ。
かかわっている多くの人の誰もこんな常識外れを注意しなかったのだろうか。もし誰も気づいていなかったとしたら絶望的だ。確信犯だったら何をかいわんやだ。
観なければよかった。そうすればこんなことを書かずに済んだのに。
ほんとうにこのような奇妙奇天烈のままで、芸術鑑賞行事作品として西日本を巡演するの?