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《2001.12月−10》

生き生きとしたセリフが楽しい
【今夜は鯛の尾頭つき (PA!ZOO!)】

作:こっち田邦子(あみる) 演出:うみのはいね
15日(土) 16:00〜17:25 ぽんプラホール 1200円


 生き生きとしたセリフが楽しい作品だ。

 8年ぶりの母親の法事に集まってきた子供たちのところに、母の死後家を出ていた父が帰るというはがきがとどいている。
 個性的な4人姉妹を軸にして、父に対する思いをこめたやりとりをうまく描いている。

 リアルなセリフ術がいい。話に横からねじこんだり、同時に話したり、口ごもったりという日常会話に近い。しかしテンポがよく勢いがある。

 姉妹の個性と、父への思いの温度差もていねいに描き分けられていて納得させられる。ストーリーは深刻にはならず、結局はがきは一昨年のもので、父はブラジルで畳屋をしていることが雑誌記事でわかり一件落着だ。

 俳優のレベルは高く、いかにもという人物像を作り上げている。単にストーリーをひっぱるだけでなく、生きのいい演技そのものを楽しめるというレベルだ。
 しかしそのようなPA!ZOO!の演技も、初めて観たときの衝撃的だった新鮮さにも慣れ、すぐにあたりまえになる。ややまとまり過ぎかなというところを打破してほしいという、勝手な希望を述べさせていただいておく。

 ストーリーもやはりまとまりすぎかなという気がする。それが持ち味だが、もう一発パンチがあってもいい。
 この演技力で不条理劇でもやってくれたら面白いだろうと思う。いろんな面が観てみたい。


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