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《2002.1月−8》

それなりには面白いけれど
【ワキ探/ズラ研 (バカダミアン)】

作・演出:重松輝紀
26日(土) 17:00〜18:00 シアターポケット 1000円


 長岡暢陵のひとり芝居だ。
 速射砲のごとく繰り出されるセリフと、どこにとぶかわからないという筋立てでそれなりに面白いけれど、例のごとく初めて観たときのようなインパクトはない。

 今回は一休禅師が主人公で、テーマはレイプだ。
 汚れきった室町時代の世間と対峙する一休に、ファックの話がからみ、さらに腋臭(ワキガ)と鬘(カツラ)がからむ。脇道ばかりにそれていてストーリーはよくわからなかったし、あまり重視しなくてもいいのかも知れない。

 たくさんのセリフにはいろんなものが詰め込まれているが、玉石混交でどちらかといえば石が多いか。
 上質のギャグは少ないが、抱きかかえた女性を投げ上げて、みずごりまでとってファックの準備をしてから、落ちてきた女性を受け止める、などは楽しめた。
 言葉あそびは、例えばお経の途中「・・・ザイゼン」ときたあと「ナオミ」と入れるといったレベルが多く、レベルは高くない。
 間断なくやられるのは、テレビのCMやバラエティの言葉をちょっと拝借というようなセリフで、なかなか着いていって笑うところまではいかない。

 その結果、観終わったら面白かった印象が残ればいいのだろうけれど、なぜかその印象が薄い。
 荒唐無稽なのはいいので、そのスケールをもう少し大きくしたがいい。大きなストーリーを入れ子などで重層的にすれば、もっと大きな演劇空間が広がるだろう。ギャグを多くして突っ込みをよくするとともに、言葉あそびの質も上げる。特徴がなくなることを覚悟で、どうでもいいセリフは刈り込んだがいい。

 演技には幅を持たせ、切れ味をよくしたがいい。どちらかといえば鈍重に見える長岡の演技だが、軽薄な表現などに幅が広がればさらに面白くなろう。テンポに緩急をつけたり、場合によってはしつこく突っ込む場面もあってもいい。

 これを観た直後に鳥肌実「万歳革命」を観た。この感想は「万歳革命」を観る前に取っておいたメモによっている。念のため。


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