等身大の人物像を、基本的には現実と同様な時間のなかで描きながら、ミステリータッチの仕掛けで引っ張って、15才のとき集団自殺をしようとした4人の女性の心の動きをうまく描き出している。
サツキ、カホ、コノミ、ユカが集団自殺をする約束をするが、ユカが死に、コノミは記憶喪失になる。サツキ、カホも心に疵を抱えて生きている。
導入部はジュンヤとヤスオの掛け合いがかなり長く続く。カホという女性を助けて自宅に休ませているジュンヤのところに、恋人ユカが訪ねてくるという。
掛け合いを見せるのが目的で軽めのジョークの応酬がまあ面白いが、少し冗長に過ぎる。
カホとジュンヤの出会いをきっかけに中学時代の仲間が十年ぶりに集まる。ユカを除く3人の女性は、集団自殺を約束したメンバーだ。
サツキはやや強気だが、カホは超弱気だ。今にも自殺しかねないようなカホの心の動きをはじめとして、サツキやコノミの思いもテンポよく描かれる。それぞれの人物をよく形象化している。
結局みんなが会ったのは、死んだユカの兄であるアツオが仕組んだことがわかる。妹ユカの友達に会い、妹の死に負い目を感じることなく生きてほしいことを伝える。
アツオの妹で十年前に死んだユカとジュンヤの恋人ユカを同じ女優が演じて、現在の状況と交錯させた手法もいい。
アツオを光安和幸が繊細に演じる。独特のユーモアと軽さに加えて、シリアスなところもきっちりと見せてくれて楽しめる。光安以外の俳優もいい動きだ。ほとんどの俳優をどこかの舞台で見たことがある。
劇団鳥頭は、2000年2月が第1回公演で、今回は第3回公演だ。ほぼ満席だった。