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《2002.2月−10》

小学生向けだからと手抜きせず
【はだかの王様 (め組)】

原作:アンデルセン 脚色・演出:五十嵐達彦
23日(土) 10:30〜11:30 少年文化会館ホール 無料


 偶然手にした「少年文化会館だより」で、こども芸術劇場「演劇鑑賞会」があり、2月に「劇団め組」の舞台が上演されることを知った。「市政だより」にも小さく載っている。
 子供向けの芝居はほとんど観たことがない。福岡の劇団でも学校巡演などをやっているところが多いので、上演回数や観客数はけっこう多いのかもしれない。
 「劇団め組」は東京の劇団だが、どのような子供向けの芝居なのか観たくて、少年文化会館まで観に行った。

 午前の部を観た。小学校低学年向けの「はだかの王様」だ。観客は小学校低学年と未就学児にその親たちで、会場はほぼ満員だ。
 上演時間は約1時間だが、テンポがいいので短いという感じはしない。脚本はていねいに書き込まれている。子供にはわからないのでそこまで書かなくてもいいのではないかと思えるレベルだが、小さいことはわからなくてもそこまで書かれていることでリアリティはある。子供たちの反応がいいことから、細かいことがわからないことにはあまり抵抗がないようだ。

 演技の特徴は、子供たちにわかりやすいように大きな動作と大きな声でやることくらいだろうか。若干のギャグはあるが、変なくすぐりはなく素直な演技だ。照明で強調した独白シーンを入れたり、観客に語りかけたりと、メリハリと親しみやすさのための演出がなされる。新鮮味には乏しいが、舞台をふくらます効果はある。
 俳優は10人。一人一役だから10人の登場人物で進める。それぞれに役どころを押さえた演技で破綻はない。

 巡演のために、大きな装置はなるべく持って行かないよう、装置には幕が多用される。暗転し、幕を引き降ろしてあっという間に次の場に変わる。
 子供たちの観劇態度はいい。小さい子供もいるのにがやがやとした感じはなく熱心に観ている。

 今回は午後の部が小学校高学年と中学生向けの「杜氏春」だったが、これは観なかった。
 少年文化会館のこども芸術劇場「演劇鑑賞会」はどういう周期で開かれているのだろう。3月は9日(土)に劇団角笛のシルエット劇だ。面白そうだ。


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