ときどきくすくすと笑わせてくれてそれなりに面白い。三人芝居の3本立てで、役者の個性と演じ分けをみせるねらいは一応達成されていると思う。切り込みの弱さに不満は残るが。
役者は、山下晶、岡本ヒロミツ、光安和幸の3人だ。
「ゴトウヲマチナガラ」(作:山下晶)は、人助けを装った詐欺師がほんとに人助けしてしまう話。最後のどんでん返しのために面白くもない会話をがまんしなければならないのはちとつらい。
「大きめな下着の男」(作:岡本啓充)は、パンツに麻薬を入れて持ち帰ろうとして捕まった大スターの裁判の話。弁護士との接見で、役作りのためと弁護方針を固めまんまと成功する。イメージ借り過ぎだし、キーとなる発想が単純過ぎる。
大スターを演じる山下晶は迫力があって見せる。
「手紙ライダー」(作:福永郁央)は、親友に架空の恋人あての手紙を読ませる男の話。別の男から「助けて、という手紙が来てあわてて駆けつけたら死んでいた」ということを聞いて、男は手紙をやめてあわてて飛び出す、架空の恋人のもとに。
福永らしくないキュートさ、わかりやすさだ。ふわりと別の世界に連れて行ってくれるような軽さがいい。
カフェでやるから軽い芝居と最初から考えなくてもいいのではないか。今はなき渋谷のジャンジャンは自称喫茶店だが、ギリシャ悲劇だってやった。
そのジャンジャンで観たイッセー尾形は、この芝居と同様に舞台上で衣装替えなどやるが、見ていてそれが楽しい。この芝居、そこまでは行っていない。
カフェ・ソネスはあまり広くない。開演5分前に行ったら立ち見になった。
観客はおよそ30人、関係者が多そうだ。例によって、背広にネクタイは私だけだ。