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《2002.4月−1》

楽しめるんだ−けどね
【失恋戦隊 フラレンジャー (坂口(仮))】

作:坂口裕介 演出:上村陽介
6日(土) 15:00〜16:20 甘棠館Show劇場 800円


 硬いことをいうならば、イメージは借り物で、ストーリーも陳腐で・・と文句はいっぱい言えるが、この劇団の持ち味はそこを若さで明るく一気に押しまくって、深刻ではなく楽しめるところまで持っていっているのがいい。娯楽性十分で、安心して見ていられる。作る側が楽しんでやっているのもいい。

 「秘密戦隊 ゴレンジャー」に比べて、正義の度合いがやや弱いという弱点をむしろ逆手にとって開き直っているところが面白い。というのは、メロメロ愛で世界征服をたくらむ敵役の「ラヴ魔将軍」の方が却って理にかなっている。
 振られるのを正当化することが無理があるのをわかった上であえてやっているから、なかなかすっきりと正義の味方というわけにはいかないのもわかる。

 しかしだからといって、フラレンジャー・レッドとラヴ魔将軍が兄弟だったというような矮小化された安易なパターンの結末にはちょっとがっくりだ。そのようなところで馴れ合ってしまっていて、ほんとうの緊張が薄いのは難点といえよう。ギャグをかませられればいいやと考えているとしたら可能性は低い。状況設定をもっとシビアに考えれば大幅なレベルアップが図れるのではないかと思う。

 演出方法では、客席から登場したりと「ギンギラ太陽'S」の影響はもろではあるがまあ楽しめる。
 演技は大味だが、かっこいい俳優が多いのは強みだろう。かっこいい俳優が魅力あふれる俳優に早くなってくれることを期待する。

 この芝居は甘棠館Show劇場で4ステージ。私の観た回は満席だった。


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