IQで人々がランク付けされている超管理社会での、スピンアウトする人たちの話だ。構成もよく、人物もうまく描けていて楽しめる。
IQによって人がAランクからEランクに分けられている社会で、Bランクからスピンアウトしようとする安奈と安の母娘。Eランクに不満で革命を起こそうとする呂目男と呂出男。Cランクだが生きがいを見出せない安寧。それに、安奈の友だちのユッコと、安寧のランク適用カウンセラー・時羽貴子がからむ。マスコット的に三郎が登場する。
以上がすべての登場人物で、なかなかうまい組み合わせだ。
安奈と呂目男、安と呂出男が関係を持つ。その二つの関係を軸に、それぞれの人物の属するランクからのスピンアウトの想いが語られる。登場人物のやり場のないおぞましい思いをうまく描いていて、それがこちらにも伝染してくる。
途中からストーリー展開がパタリと止まってしまうのは、観客にもどかしさを感じさせるため意図的にやったかなと思ってしまったが、そのあたりちとたいくつ。
大詰め呂出男が、ランク適用カウンセラーのセンターのあるビルに爆弾をしかけビルは瓦礫の山となる。その瓦礫の山こそが自由の象徴として希望を与え、かれらは救われる。
国際貿易センタービルの瓦解を思い出すが、それを自由の象徴と逆方向から見たところが面白い。そのあたりをさりげなくやるところが魅力だ。
初めてみたときは女優らしくないHole Brothersの女優たちにびっくりしたが、だんだん慣れてきて個性的と見えるようになった。演技も安定感を増してきたが、どっちかというとこじんまりまとまるよりははちゃめちゃでいいからスケール大きな演技をこの劇団には期待したい。
客席はほぼ満席だった。