4月29日から5月6日までの、劇団あんみつ姫の西鉄ホール公演だ。途中、5月3日から演目が替わるとはいえ、8日間18ステージというのは福岡演劇界にとっても画期的なことに違いない。
初日は混みそうなので避けて、きょう2日目の21時30分からのステージを観た。十分楽しめたが、「容れ物」でけっこう変わるんだなと、きょうのショーを観ていて思った。
この公演についていうと、「舞台の機構と客席のキャパ」と「空間の性格」の大きく二つのことが影響している。ショーの構成はお店(親富孝通り劇場)とほとんど変わらないが、「容れ物」が変わったことの影響は大きい。
「舞台の機構と客席のキャパ」についてみていこう。
舞台の広さはもちろん西鉄ホールの方が広いが、セリや宙吊りがない分立体感には乏しくなる。そのことがショーのインパクトを弱める方向に働いた。舞台の間口が広く、大階段も横幅10メートルもあると、却ってダンスのアラが目立ってしまう。
客席のキャパについては、もともと100人未満のお客に向けて作られたものを400人の劇場でやる無理に加えて、私の観た回は40%程度の入りだったから、空席にエネルギーが吸い込まれていくようなもどかしさがあって、熱気が反射せずこもらないのが観ている方にとってもつらかった。劇場いっぱいの観客も「容れ物」の重要な要素なのだというあたりまえのことを再認識させられた。
ここはやはり、400人のホールに向けた内容や演出にするべきだろう。舞台上の演出はむろん構成についても、客いじりで盛り上げるには少しホールが広すぎるので、工夫が要るだろうと思う。
「空間の性格」については、私的か公的かという空間の位置付けの違いが大きい。
お店が私的空間におじゃまするという感じなのに、ホールという公的な空間での公演は何ともつっけんどんな感じだ。決定的な違いはアルコールのあるなしだろう。アルコールなしの西鉄ホールでは、つい身構えてリラックスできないのはしかたがない。
面白かったけれど、ドッと押し寄せてくるような迫力ならやはりお店かなという気がしたのは、以上のように「容れ物」によるところが大きいと思う。
まだ2日目だし今後演出の工夫などでよくなって、「容れ物」に見合った面白さが出てくることを期待する。次回のホール公演はさらにホール向けの工夫をして、お店とは違った面をもっとみせてほしいと思う。
と、素直に終わりたいところだが、やっぱしウラミゴトを書かないと終われない。
前説でエイジから「手遊びするな!」と怒鳴られるし、客席に降りてきたとまとママからは「場所間違えて来たんじゃない?」(私があんみつ姫に来ちゃいけないの?)と言われるし、そのとまとママが隣りの人とジャンケンをしているとき足を組みかえたら「身構えるな!」とまた怒鳴られるしで、散々だった。
内気で小心で連れがいない私には、客いじりは少しばかり重荷だ。隅っこの方でひとりそーっと、ニヤニヤ笑って観ていたい。