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《2002.5月−2》

低すぎる●ヴィジョン
【眠れる森のヴィジョン (Be Station)】

原作:菜奈みく 脚本:Seyto 演出:池田和弥
2日(金) 19:00〜20:30 ぽんプラザホール 1200円


 台本も演技も稚拙すぎる上に、台本と演技のミスマッチも目につき、正直たいくつした。一本の作品の上演となると、熱意だけではどうしようもない。最低限のスキルは要るのではなかろうか。

 伝説の山に遺跡探査に向かう4人の男女。伝説というのは、王である夫のために生き埋めになった王妃の話だ。しかし実は、遺跡探査は3年前に殺した女の妹を山に連れ出して殺すためだった?――嗚呼!支離滅裂でメインのストーリーさえもう思い出せない。

 台本はよけいなセリフの水増し状態で、ストーリーは遅々として進まず、こっちの意識の方が先回りして、ストーリーが追いつくのを一服しながら待っているという感じだ。一服している間にうとうとしてしまったりする。
 あいまいだったり矛盾だったりと理解しがたい独りよがりの設定が多く、納得できるレベルには遠い。

 演出と演技については、例えば殺された女の妹・裕恵は主役だがヒステリー女のうえに突然豹変する支離滅裂な性格で、まったく魅力を感じない。だから「勝手にやってれば」としか思わないが、他の役についても同じような感じで魅力に乏しい。
 汚い大声でわめくことは、作品の品位を下げるのみならず、感情表現とは最も遠いところにあることを知るべきだろう。


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