アクロス福岡などが主催の「仮面劇と狂言」を観た。韓国の楊州別山台ノリ保存会による仮面劇が楽しめた。
演目は、「モクスン(墨僧)ノリ」、「ボドブザン(警察長官)ノリ」、「チバリノリ」の3つ。
老両班の妾を庶民の警察長官が間男する「ボドブザン(警察長官)ノリ」はまあわかる。しかし、寺男チバリが老僧がふたりの女といちゃついているのを見て怒り、女のひとりを奪い取って子を産ませる、ただそれだけという「チバリノリ」はけっこうシュールだ。
仮面劇はもともとマダン(広場)で演じられる芸能だ。セリフもあるが、リズムに乗って踊りながら演じる。その踊りは単純な動作の繰り返しだが、時間をかけて徐々に感興を高めるという効果もあるのだろう、うきうきしてくる。
仮面はユーモラスにデフォルメされている。踊りもやはりデフォルメされていて、寓話の世界に連れて行ってくれるような趣がある。
司会の リー・チュヒ さんが掛け声と手の振りを教えてくれた。
手の振りはごく単純なものの繰り返しだが、実際自分でもやってみると、演者の振りの微妙な動きが持つ表情の多彩さにびっくりする。
仮面劇は2度目で、前回はロサンゼルスオリンピックのイベント帰りの途中に芝増上寺で上演された「鳳山仮面劇」だった。久々に観て、仮面劇とはこんなにくだけた芸能だったのだと改めて感じた。
狂言は、大蔵流の山本東次郎一門による「柿山伏」と「六地蔵」。この一門の狂言は初めて観る。
「六地蔵」は、同じ大蔵流の「仏師」と同じ趣向だが、同じ流派でも一門によって演目が違うのかな。地蔵を3人で演じる「六地蔵」がにぎやかで華やかだ。
山本東次郎の演技が際立っているのは当然と言えば当然だが、その演技は「軽い」というところまで練り上げられていた。一流といわれる狂言師の演技は例外なく「軽い」と思う。
司会の リー・チュヒ さんがやってくれた、踊りながらの太鼓演奏も楽しかった。