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《2002.5月−11》

構成とテンポ○いい
【高楼ノ姫 (芸工大演劇部)】

作・演出:森本有紀
25日(土) 13:30〜14:30 芸工大多次元ホール 500円


 上演時間1時間だが、全体的にテンポがいいため、観終わって、そんなに短かったかと思うほどだ。
 大きな構想を簡潔なセリフでうまく表現していく。よくあるような、水増しとも思えるようなセリフがないのがいい。例えば、はじめの場面は天国へ行けない人を浄化する場所で、次の場面は現実の城の場面だが、説明的なセリフはなくても観客は完全についていける。

 民の死を高楼から嬉々として見物する姫。その死体を、死体片付けが仕事の 若者オマエ に高楼に運ばせ天井から吊るすというえげつなさだ。そしてついにはその姫を殺すオマエ。
 以上のような物語が、天国に行けないオマエの記憶さがしの「入れ子」として語られる。

 舞台は下手に階段があって、高い2階を持った構造になっている。1階の正面の壁にあたる部分にカーテンがかけてあり、それがスクリーン代わりだ。
 2階建てをうまく使った立体的な演出がいい。天井から吊るされた死体が風に揺れ、その隙間から無機的な青空が覗くシーンなど鮮烈だった。
 映像をうまく使って効果を上げているのも、さすがに芸工大らしい。

 以上にように、構成力とそれを表現するパワーによって見応えのある作品になっていた。並みの劇団のレベル以上だ。
 観客は20人くらいで、ほとんどが芸工大の学生さんのようだった。


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