この公演は第2回福岡トリエンナーレ交流プログラムの一環で、「牛嶋均作品をめぐる」と副題がついたパフォーマンスだ。
7階の美術館受付に行ったら5階のアトリウムガーデンに行けという。そこで待っていると定刻になって、7階から階段をパフォーマンスしながら降りてくる舞踏手が見えた。
5階まであとすざりしながら階段を降りてきて、そのままアトリウムガーデンのいちばん高いところまで行き、そこで若干のパフォーマンス。破れた黒のコートに黒のズボンでコートの下はランニングで、顔と手足には濃いグレーのメイクとまさにホームレスのかっこうだ。
アトリウムガーデンのいちばん高いところでのパフォーマンスは、ときどき舞踏らしい姿態はするがあまり大きな動きはない。夕日があたって逆光のなかでうずくまったり転がったりとうごめく。
そのあとゴロゴロとガーデンを転げ降りて、もと来た階段を登って7階にもどる。観客もゾロゾロと7階についていく。
7階の彫刻ラウンジには牛嶋均の作品「人智の研究ver.2−キチ+リアカー」がある。それは、「展覧会の間、戦車からリアカーとキチ(これが何かわからない)そして平和な村へと形を変えていく作品」で、大きなリアカーには折りたたんだダンボール満載だし、そのまわりにはダンボールの家がたくさん並ぶ。
その家をホームレスの住まいとみなしてのホームレスの舞踏だと見たが、ちょっと単純すぎか。
ここで田中泯はコートを脱いでランニング姿になる。床をのたうちまわったあと、手を広げて体をのけぞらせゆっくりと歩き回る。鍛えられている身体で腕の太さが目立つ。
目の前に正面から迫られると大鷲が翼を広げているように見え、なかなか迫力だ。
50分のパフォーマンスなのにひどく疲れた。5階から7階まで追っかけたり床に座って観たこともあろうが、2メートルくらいの至近から観てパフォーマーの高揚が伝わってきたのがいちばんの原因のように思う。
観客は70人くらいだろうか。ダンスをやっている人が多そうだった。