小品の新作2本立て公演である。「悪魔の千年王国シリーズvol.1」と銘打たれたこの公演は、その上演形式も含めてなかなか面白くて楽しめた。
「ギロチン式」(作・演出:下坂真澄)は、不実な恋人をギロチンにかける会に処理を頼む話で、上演時間20分弱の小品。
恋人・中園くんがいざギロチンにかけられる時になって恋人・良子さんは迷いためらうが、そんなことはおかまいなしに中園くんの首が飛ぶ。あと、みんなで喜ぶラストシーンで、なんとも微妙な良子さん(宮原清美)の表情がいい。
「マクガフィン」(作・演出:梅野陽一)は、画家と売春婦の恋をとりもつ運転手とヒッチハイカーの話で、上演時間は約40分。
間口2メートル、奥行き1メートルの空間で、装置はほとんどなく照明だって十分ではないのに、それぞれの場面をうまく際立たせているのは音響(吉川達也)の効果が大きい。場面にみごとに合わせている。
上演戯曲はメンバーの作品で、作者自身が演出している。オリジナルをやることにこだわっていて自分で書くという姿勢は立派だし、若干の不満はあっても楽しめるのはいい。
一見猥雑とも見える表現をとってはいるが、作品のイメージは前回の一軒家劇場に比べ明確でわかりやすくなっていると思う。
この公演は、渡辺通り1丁目の Cafe & Bar FUZZ で1日だけの3ステージで、1ステージ20名限定の完全予約制となっている。
舞台も客席も狭いが、それを逆手に取ったような作品は面白かった。