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《2002.12月−18》

テンポよくて☆楽しい
【ガットバスター (九州産業大学演劇研究部)】

作・演出:田中真美子
22日(日) 14:05〜15:20 九州産業大学学友会棟1F大会議室 無料


 テンポのいい展開にギャグをからませていてまあ楽しめた。
 田中真美子の作・演出作品は2本目で、前作に比べるとコンテンツが充実しこなれてきたという印象だ。やや小ぶりでまとまりすぎの部分が相変わらず残るのが少し不満だが。

 18年前に母・サユリを失った姉妹。妹・ユカの幸せのために虫がつくのを極端に嫌い阻止しようとする姉・サキと父・ハジメ。それに特撮ヒーローマニアの社長とその部下がからむ。

 父・ハジメと社長・黒木が旧友で、サユリをめぐってライバルだったとか、黒木の部下・姫野がサキに一目惚れしまったとかのエピソードがカラムが、結局は「ホゴレンジャーショー」で全員が鉢合わせることになる。
 もともとリアルさをねらった作品ではなくて、ギャグを楽しむ要素も大きい作品だから、若干の不自然さに目くじらを立てることもない。
 そのギャグは、ピリッとしていてなかなか楽しめる。ずいぶんレベルアップしたな、と思う。

 俳優はそれぞれに個性的で、楽しんでやっているのはいい。安心して見られる。
 装置は前回と同じものだが、今回の作品でも違和感はない。

 結局、母の死をめぐり父と姉がそれぞれ事故の責任を自分のせいだと感じすぎていて、そのことが父と姉を不仲にしていた。その誤解が解けてメデタシとなるのだが、妹が自分への行き過ぎた干渉を分からせるためにわざわざ誘拐話を仕組んだ割には、簡単に父と姉は妹を理解する。あっけないほどだった。
 それに姉と姫野の恋愛はどこに吹っ飛んでしまったんだっけ?という感じも残り、もったいない。

 この舞台は九州産業大学演劇研究部の冬季四回生卒業公演で、きのうときょうで3ステージ。ほぼ満員だった。


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