このところの劇団池田商会の公演は、中途半端としか思えない公演が多く喰い足りなかった。
だが今回の公演は、形態はいつもとあまり違わないが、この劇団らしいバカバカしさがけっこうたっぷり出ていて楽しめた。これからもっとおもしろくなるかも知れないと思わせた。
閉館する映画館での最終上映の、それぞれの映画と見立てた4つの作品(Chapter1〜Chapter4)が上演される。各Chapterの合間をオーナーと映写技師の会話でつなぐ。わかりやすそうでいて、どこが本編か不分明なところもあってちょっとついていきにくい構成だが、全体に遊びの雰囲気だからこんなのもありだろう。
Chapter1「スズキとトヨタ」は、殺し屋の擬闘のビデオが上映されたあと、殺し屋トヨタの妹と殺し屋スズキの結婚ばなしで展開する。結局は、トヨタがスズキを殺す。
殺しの仕事のことでグドグドという感じで、かなり白ける。なぜ最後殺すのかも、よくわからない。ビデオ上映も入れて20分以上というのは間延びしすぎだ。
Chapter2「サマランチ」は、三原と長居による即興芝居バトルで、与えられた題を10秒だけ考えて表現するもの。
@十回十回回クイズ Aとうふ B百年に一度 をそれぞれにバカバカしいパントマイムで表現するが、そのアイデアの中途半端さを笑いにすりかえるところはまあまあ。約10分。
Chapter3「奪い取ったが吉日」は、誘拐のコント。
子どもがゾロゾロと携帯を10台も持っていたり、親が昼寝していて身代金を届けそこなったっりと、すっとぼけたキャラをハスに演じて、何ともくだらないところでもたせるのがいい。15分弱。
Chapter4「ホームgo home」は、マンザイコンビの相方を新幹線のホームに見送る話。
相方がやめる理由が終わり近くになって出てきたりの支離滅裂さや、「弱音吐いてくれよ!」といったセリフの逆突っ込みの波状攻撃で、つい笑ってしまう。けっこう楽しめた。約15分。
意図的な雑駁さや胡散臭さや泥臭さなどが、あまり密度高くなく混在していて、その空疎さの具合もなかなかいい。もう一発の切れ味とパンチが出てくれば、もっとおもしろくなるだろう。
このような公演を積み重ねて、本公演でドカンと楽しませてほしい。
この公演は、今月毎週末開かれている「テアトルはこざき 二人芝居祭り」の第二弾だが、演劇公演としてはこれが一発目で、来週14日、15日に再び 池田商会、月末の28日、29日に えのき岳第08遊撃小隊 の公演がある。
小さな劇場で多くの作品を上演して場数を踏むのはいいことで、テアトルはこざきでイベントが定着しつつあるのは喜ばしい。
この舞台は5ステージ。私の観た回は15人ほどの観客だった。