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《2003.6月−16》

発想がお手軽すぎる
【役者の道 〜スペースロミオとカオスなジュリエット編〜 (LooseMan)】

作:波瀾万丈 演出:濱松☆明、波瀾万丈
21日(土) 14:05〜15:05 青年センター3階 500円


 う〜ん、観ているのがつらい。この劇団の持つおもしろさがまったく出ておらず、どうしちまったんだ?という感じだ。
 この劇団の単独公演は初めて観るが、E−1グランプリではその独特のオリジナリティがおもしろかったのに、今回なぜ劇団の内輪話というつまらないテーマなのか理解に苦しむ。他に劇化するものもないのか、と毒づきたくなったし、そのような甘さが舞台に出てしまい、空中分解してしまった。

 「スペースロミオとカオスなジュリエット」を公演中の劇団での話し。
 第三幕の神父役の役者がサボり、ジュリエット役の女優も気に入らないからと舞台途中に勝手に帰ってしまい、とりつくろいようがなくて公演は失敗する。が、そこにノコノコジュリエット役の女優が戻ってきて、演芸志向ではなくて本来の演劇がやりたいと説得し、みんな簡単に同調して劇団の再生を誓う・・。あ〜あ、あまりにお手軽。

 この舞台、広く言えばバックステージものに入るのだろうが、劇団という自分の世界に逃げ込んでいる上に、お手軽さに影響されてか作りはかなり稚拙だ。どう稚拙か。
 劇中劇を影絵劇としたおもしろさはあるが、内容がないとすぐに飽きる。劇中劇とそうでない部分がまったく絡まない。人物は、自分が演じる劇中劇の人物と交流はないし、触発されることもない。
 劇中劇が漫才調だとして、そのことは最後に否定されはするが、今回の舞台の見せ場のはずだし、それをあまりに軽く扱いすぎていた。ドタバタをもっとシュールにして、勢いがほしかった。せっかくの俳優のパワーも空回りだ。
 ストーリーは単純なのにかなり不自然で、例えば、ジュリエット役の星海がなぜわざわざ本番中に舞台をボイコットするのかきっかけがわからないし、それがなぜ戻ってくるのか心境の変化の根拠も弱い。
 そして、ラストのとってつけたようなシュプレッヒコールでこの劇団が再生するなら、最初から問題なんぞあるまい。そんなに簡単に変わるなよ!と白ける。

 この公演は、くうきプロジェクト第2回公演で、きょう2ステージ。私の観た回は約80の客席が満員だった。


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