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《2003.6月−21》

橘大五郎の達者さと美しさに驚く
【橘菊太郎劇団公演 (博多新劇座)】

構成:橘菊太郎劇団
28日(土) 12:10〜15:30 博多新劇座 1700円


 女形の美しさが評判の 橘大五郎 を見たくて、博多新劇座6月公演「橘菊太郎劇団」を観た。
 ショーもお芝居も魅力たっぷりで大いに楽しんだ。若座長・橘大五郎 の魅力が際立っていた。
 構成は三部構成。第一部 「顔見世ショー」、第二部 お芝居「次郎長と旅役者」、第三部「 橘グランドショー」 と続く。

 第一部 「顔見世ショー」は全6景のショーで、約25分。
 オープニングは、男3人と女3人のロック調の演歌に合わせた踊り。全員や3人やペアやソロの組み合わせがダイナミックに変わっていく。
 橘大五郎 は早くもここから登場し、あと2景に登場するサービスぶりだ。あと、剣次郎、三条さゆり、伍条ひろしなどの踊りは、曲の選択もリズム中心のテンポのいいものが多く、いわゆる大衆演劇独特の臭さはずいぶん弱い。

 第二部のお芝居は「次郎長と旅役者」。3場で約1時間。
 座長(菊太郎)と座員・市川足の裏(大五郎)のふたりだけとなってしまった旅役者の一座が新入り座員を誘う。誘った相手が清水次郎長(橘文若 だと思う)。  座長の実家で妹ふたりが土地のやくざに借金をネタに嫌がらせをされている。そこで座長は次郎長一家になりすまし、妹たちを助けようとする。
 見せ場は、足の裏演じる次郎長と、座長演じる次郎長の妻・おちょうのハチャメチャぶり。ふたりとも極端な三枚目を大げさにアドリブたっぷりに演じる。結末は見えているし、コントも特に質がいいとはいえないが、動きのバカバカしさで見せる。座長の菊次郎にはユーモアがあふれているし、大五郎も三枚目をよくこなす。
 次郎長役もいいし、敵役のやくざを演じる伍条ひろし、剣次郎 がなかなかいいから舞台に厚みが出ている。

 第三部「橘グランドショー」は全12景で約1時間15分。
 バラエティに富んでいて見応えがある。
 特筆すべきはラストの「カルメン」。15分を超えるという長さもさることながら、ショーとして充実していて楽しめた。真っ赤な着物に高い鬘のカルメン(大五郎)、つぎの場面では11人による群舞。そして再び登場したカルメンは、やや古典調の白い着物。さらに座長・菊太郎のやはり白い着物での登場。
 カルメンのストーリーを追ったというつくりではない。ドラマ仕立てではないが、恋の雰囲気は実によく出ている。
 この舞台ですごいのは照明。舞台前方左右にリモコンでダイナミックに動き色も変わるスポットライトが左右1台づつ、舞台後方にはそれが左右2台づつ。さらに舞台後方床には前に向けてライト10個以上。天井にはやはり前方に向けたライトなどたくさん設置されている。それにスモークが加わる。
 この「カルメン」、浅草公演でやったものだそうだが、今月やって評判がよくてきょうもう一度上演ということだった。ライトのセットにけさ5時までかかったとか。

 橘大五郎は圧倒的な美しさだ。
 きりりとしたオーソドックスな美女がいい。若衆姿も甘いマスクがひきつけるし、三枚目はそれらとの落差が楽しめる。
 大五郎は日田市生まれの16歳。168cm、57kg。9月公開の北野たけし監督の映画「座頭市」への出演が決まっている。

 あす千秋楽ということもありきょうは超満員で、びっしり置かれた補助いすでも間に合わず立ち見も出ていた。


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