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《2003.7月−2》

内容のおもしろさで聞かせる
【笑いのコラーゲン (ワハハ商店プロジェクト)】

構成:喰始 作:コラーゲン配合マン
12日(土) 15:00〜16:40 青年センター1階ホール 500円


 コラーゲン配合マンのトークがなかなかおもしろかった。独特の話芸を目標とするこの芸人の、緒についたばかり芸を見た、ような気がした。

 コラーゲン配合マンのトークは、「宗教」と「インド」のふたつ。いずれも、喰始の宿題に答えて経験したことを自然に話す。その自然に話すことがこの芸人の芸だ。じっくりと話すので、それぞれ約30分かかる。

 「宗教」は、「天神教」という教団に行っての経験談。
 副教祖(教祖の奥さん)に大神様が降臨して悩みに答えるという「お伺い」の経験談が抜群のおもしろさ。降臨した大神様が「そなたの歳になりパッとせぬようならそれが答え」とダメだしをされ、コラーゲン配合マンは切れる。副教祖に向かって「神様が『パッとせぬ』というような俗語を使うか、あんた(副教祖)の主観が入っているだろう!それに、宗教は人を喜ばせるパフォーマンスなら人をちゃんと喜ばせろ!もっと勉強しろ!」とぶつける。
 そしたらこの副教祖、いったん引っ込み、私服に着替えてきて、「あなたと神としてではなく、人として話したい。」という。そこで肝胆あい照らし、教団のバイブルともいえる「お伺い記録」本をくれ、「お伺い」の料金5000円も返してくれる。

 「インド」は、やはり喰始の宿題で、行きたくもないインドに行く話。
 インドに滞在した2ヶ月のうちの、はじめの10日間のカルカッタでの経験談が語られる。宿、大麻、売春宿の話のあとの、9日目にスラムに潜入して、「ガチョ〜ン」が大受けした話が感動的だった。具体的なインドの人との触れあいをとおして「子どもが笑えばおとなも笑う」という、日本と違うインド文化を感じるところまで行っている。

 話芸として意識するのは さんま や 鶴瓶 だそうだが、コラーゲン配合マンのトークは話の内容中心で、どちらかというと新作講談に近い。盛り上げ方も講談に近いと思った。
 自然さを強調しているが、自然だけではおもしろいはずもなく、構成、しゃべりの内容やことばが工夫されているのはよくわかる。このスタイルの芸はコラーゲン配合マンだけのようだが、表現のさらなる工夫でもっとおもしろくなると思う。

 喰始は紹介とつなぎのトーク。軽いしゃべりがいい。
 この公演は、青年センターのくうきプロジェクト特別公演の第一弾で、こんな入場料で観られるのはありがたい。2ステージで、私の観た昼の回は100席くらいの会場にほぼ満席で、年配者から子どもまで観客層は幅広い。


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