ことしの きらら番外編「INDEX.5th」は、たっぷりな内容でおもしろかった。楽しんでやっているせいか、切れ味よりも勢いで見せられてしまう。けっこう笑い転げた。
「INDEX」とは、音楽とか演劇とかダンスとかのジャンルをとっぱらって、おもしろい人の索引(INDEX)を作りたいところからきている。
今回のテーマは「浮かれる」。演目は全部で20近くあり、形式も、短い劇、コント、ダンス などと多様で、内容もテーマに沿っているとはいえ多彩だ。
オープニングの短いバレーのあと、センスのいい映像による出演者の紹介。
それからすぐに、池田美樹 と 宗真樹子 のかけあいが始まる。宗 の語る、自転車ですれ違い様に高校生が言った「こん恋は覚悟ん要るごたる」から始まり、とりあげる話題のおもしろさと、その話題への突っ込んだりすかしたりというしゃべりのおもしろさ。けっこうレベルの高い漫才だ。
短い劇は、短いとはいっても1作品が10分かそれ以上の上演時間で、見応えがある。
「浮かれカポーとたそがれOL」は、いちゃつく恋人の話の話題を、たそがれOL流に切るのがおもしろかった。セリフとフルート・バイオリンとの連繋もいい。
「恋する怪人」は、怪盗が正義の味方・桃ファイターに惚れる話。そのくだらなさがいい。
「にっちもさっちもブルドック」は、バレーしか許されないダンス学園にソウルダンスのクラブを作る話。作ったはいいがクラブの男はオカマの校長に拉致される、というバカバカしい結末を、なぜかスルリと納得してしまう。
「浮かれコンサルタント」はちょっと印象にない。
「プロポーズ大作戦」は、デートのダブルブッキングで鉢合わせのふたりの恋人に、子どもとかユーモアとかたくましさを競わせる話。ややありきたりか。
「浮かれ石の話」は、画家にプレゼントされた3つの願いをかなえる石の話。池田美樹の寓話は、そのストーリー性はいいとしても、それを推進する根拠・原因が弱いのが欠点だ。この作品も単純な寓話ではない魅力的な展開なのに、なぜそうなるかの根拠が弱いために、全体の印象を平板で弱いものにしてしまっている。また、この作品で言えば石の生い立ちから説き起こしているように、ストーリーに冗長さが残るのも気になる。本題に絞り込んだがいい。その傾向は、「台無し 栗善の話」にもあらわれている。
コントはいかにもというのは少ない。コント的な要素があるものも上記の短い劇に入れたのもあるからかもしれない。
「白肌万歳」が同じパターンを3回繰り返していて、その繰り返しが楽しい。たかだりえ がきれいだ。
「ミラクル・マン」は、おもしろさがわからない。
榎本史郎の「世界の偉人ショー」は、「野口英世の学生時代」など全部で15もやるが、単純な語呂合わせだけの世界。これだけやったら白けるが、盛り上がったなかでやるからおもしろいのだ。それにしても榎本史郎は、ゲストの時のほうが自分の劇団の本公演より圧倒的に生き生きしていておもしろいのはどうしてだろう。自分の劇団でもちゃんとやってほしい。
「恋島恋太郎」はショーとして動きもしゃべりも楽しめる。宗真樹子のしゃべりがいちだんと魅力的になった。あと、アクターズ・フィーリング・ダンスチーム のダンスも楽しめた。
この舞台は、きのうときょうで3ステージ。若干空きがある程度だった。
劇団きらら は、この公演のあと10月に第29回公演「キリンの眼」を熊本で上演する。それは11月に東京・新宿のタイニイアリスで上演され、12月に福岡でも上演される。