自ら「大人の学芸会」と言っているこの公演は、やるほうも見るほうもワ〜ワ〜と、ほんとうに学芸会のような楽しさに充ちている。
しかし、よくできた脚本と遊び心たっぷりの演出で、その楽しさはそんなに薄っぺらではない。全体に勢いがあるのもいい。
恋人・アキラと別れてネガティブになった ユウキ が、悪の誘いに乗って、三蔵法師暗殺の指令を受ける。
三蔵法師は、金角・銀角との勝負の真っ最中。そこに割り込む ユウキ と、ユウキを追ってきたアキラ。
三蔵法師も弟子たちもハチャメチャのキャラで、ぶっ飛んだ何でもありに見えながら、落ちつくべきところにいちおう落ちつく。
脚本の構成はなかなかいい。
よくみる手法ではあるが、悪との密約によって西遊記の世界に行く ユウキ。その現実との二層性が物語を立体的にしている。
キャラクタも、観客迎合的ではあるがそれぞれに思い入れたっぷりだ。沙悟浄と八戒が夫婦で、しかも八戒はただの豚という設定をストーリーやギャグにうまくからませていて笑わせる。
舞台には、お釈迦様の指を表す5枚の布が天井から下げられている。そのつなぎ目がちょうど悪魔の目のように見えるやりかたもなかなかうまい。
演技はかなりおおざっぱで荒っぽく、ほんとうに勢いだけだが、それはそれでおもしろい。役者のキャラクタに合わせたあて書きのためもあろうが、役者は地丸出しで、キャラクタだけでもっているというところもあり、ワンパターンの演技に食傷気味にもなってくる。チェリー行武(三蔵法師役)は、ちょっと見るからおもしろいので、演技の幅がないから、出ずっぱりでは飽きてくる。
まあ、いっしょになって楽しんだ。
観客は子どもから年配までと幅広い。100人以上入っていたのではないだろうか、超満員だった。
初日に観たが、15日まで5ステージが上演される。