楽しめるパフォーマンスであるが、ことばの語りすぎが気になった。抽象的で思わせぶりなことばは最小限に抑え、動きでの表現に集中したがいい。
蛇のことばに惑わされてリンゴを食べ、楽園を追われるイブとアダムの話。出演者は女性6人、男性1人。
かなり広い会議室を横長に使う。イブ役がベージュで、ひとりが赤のほかは黒のコスチューム。
フォーメーションでの表現はいいが、問題なのはフォーメーションに加わるよけいなことばだ。ややなまくらなしゃべりが、せっかくのフォーメーションでの表現と相乗することはなく、むしろそれを弱める方向にしか働いていない。動きが間延びして、緊張感がなくなってしまう。そのようなことばでの表現は、概念的なものを積み上げて別の概念を表現しようという試みとも思えない。
ここは、フォーメーションやパフォーマーの動きでの表現によって、ひとつの概念まで至るというのが本筋ではないだろうか。
ただ、作品の核ともいえるところでの表現はなかなかいい。
イブがリンゴを食べて、アダムも食べて、ふたりが人となって愛を知り愛し合うというところを、情念たっぷりに描いている。
自然(動物)から人間へ、そのふたつの決定的な差は未来を「想像」できるかということ。そこから「死」と「愛」という概念が出てくる。観ていて、そのことをよく納得させてくれる。
パフォーマーはそれぞれによく形象化している。
宮原清美がイブの思いをうまく表現していて色っぽくていい。アダム(菊沢将憲)とのからみもなかなかだ。
この舞台は4月に上演されたものの再演で、まつりアミカス2003 のイベントのひとつで、きょう2ステージ。
私の観た1回目のステージは、60人くらいの観客で満員だった。