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《2003.9月−6》

発想はそれなりにおもしろいのに
【Rainbow Flyer (P.P.Produce)】

脚本:藤原敬之 演出:鳥丸誠
14日(日) 18:00〜19:25 アクロス福岡・円形ホール カンパ


 発想はそれなりにおもしろいのに、表現方法でそれをみごとに殺してしまっているという舞台だ。

 同じ男を殺したという3人の女。それに係わる祖父江という男。
 催眠術などによる記憶操作や、パラレルワールドを見る幻覚や、それの治療を通した、謎解きの物語だ。
 アイディアはいいから、ちゃんと書けていればもっとおもしろいだろうに。

 脚本は、小出しにしすぎで引き伸ばすばかりだ。だから、いかにもトロい展開に白けるばかりだ。
 観客に注意力は要求するのに、演っているほうは意味のないくだらんサブルーチンばかりに入りこむ。例えば、「サンスクミ」→「サルスクイ」→「サルなんか助けて!」といった、メインストーリーに関係のない、ことば遊びにもなっていないよけいなものにうんざりだ。
 演出も思わせぶりが過ぎる。におわせるだけで、あとは観客が勝手に感じてくれ〜というような演出は、勝手な逃げだ。そんな表現をカッコいいとでも思っていたら、思い違いもはなはだしい。ストーリーをきちんとわかるようにし、演出でメリハリをつけて、観客に伝えるべきことはちゃんと伝える必要がある。

 演技もやはり、きちんと演じないのをカッコいいと勘違いしている。何かを伝える気があるのだろうか。

 この舞台はきょう2ステージ。私の観た2回目は、15人ほどの観客だった。


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