題名とは裏腹に、脚本にも演技にもまったく「骨」のない舞台だ。
目ざした「男らしい汗臭さ」はどこにもない。福岡に気骨のある演劇集団誕生か!と期待したが、不発だ。
隣町に吸収合併されそうな 星のフラメンコ村。そこでなんとかやっていこうとする青年団3人と、そこから出て行こうとする男2人が、それぞれの思惑を胸に、着陸したUFOを探しに行く。
脚本は超甘で、内容がなさ過ぎる。単なる思いつきがそのまま投げ出されていて、練り上げた形跡がない。これをまともな脚本だと考えているとしたら、認識違いもはなはだしいし、とりあげた人間の演劇センスを疑う。
構成は弱く、キャラクターも弱い。時間稼ぎのよけいなセリフばかりなのに、1時間強でサッサと終わってしまうのも情けない。
構成の弱さ。「村興しコンテスト」に集約するならば、それまで引っぱってきた「UFO」をそれに絡めるべきだろう。話はそこまで行かずに唐突に終わる。「村興しコンテスト」も「UFO」も、エピソードが貧弱な上に、豚の骨を宇宙人の骨にしようとするなど、あさっての方向を向いた話で、わざわざつまらなくしている。
キャラクタの弱さ。出てくる人物が、生きている人間とも思えず魅力がないし、どうしたいのか何も考えていない。こんな連中じゃ何をやってもうまくいくわけがない、と白ける。
よけいなセリフ。都会生活への夢想を語るのに、ガソリンスタンドのバイトの話から、スタバの話から、恋人ステファニーの話とどうでもいい話ばかりを絡ませ、それもダラダラとしたしゃべりで、何のおもしろみもない。時間稼ぎという理由だ。そんなんがいっぱいあるから、救われない。
演技も期待はずれ。
「汗くさーい芝居」がやりたかったら、激しく動いてみろ。舞台の上で絶叫してみろ。絶叫するだけのことを感じてみろ。中途半端な裸ではなくて、フンドシひとつになって男らしい体を見せてみろ。そして、それをやれるだけのドラマを考えてみろ。
この舞台は、UNIT善光 の第1回公演で、きょうとあすで4ステージ。満席だった。