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《2003.12月−1》

漫才バトルのおもしろさはいまひとつ
【GOLDEN NEW COMER (福岡吉本)】

構成:福岡吉本
4日(木) 18:30〜20:15 吉本ゴールデン劇場 500円


 若手芸人総合カタログ「GOLDEN NEW COMER」は、多くの若手芸人にチャンスを与えるが「昇格・降格制度」のきびしい審査が待っているという漫才バトル。
 多彩な若手がいるのはわかったが、中堅に緊張感が薄く、やや雑な印象で今ひとつというものが多かった。

 ホップ(新人)、ステップ(準新人あるいはレギュラー落ち)、ジャンプ(レギュラー)の3つのステージに分かれていて、観客の評価も合わせた審査による入れ替え戦だ。ジャンプ組の芸人も審査にかけられるようになったというから、ジャンプ組をレギュラーというのはおかしいのかもしれない。
 ホップ組は1分の持ち時間で、おもしろくないと1分経たなくてもバサッと照明が切られる。ホップ組は持ち時間3分、ジャンプ組は5分の持ち時間で争われる。MCはジャンプ組が交替でつとめ、きょうは串間あつじ。

 ここでは出演者名や出演順を書いたものは配られないし、ジャンプ組が映像で若干流れるのを除いては出演者の表示もない。なのに、登場したコンビは自分たちのコンビ名をごく軽くしか言わないので、なかなか聞き取れない。大切なコンビ名をなぜ粗末にしか扱わないのか、理解に苦しむ。その傾向は新人ほど強い。自分の名前くらいちゃんとアピールしろよ。

 まず、ステップ組からスタート。
○カイバシラ 男性ふたり組み。犬対猫についての話。テンポはいいが、どっかで聞いたような話しで突っ込みはいまひとつ。
○エコタウン 男性ふたり組み。「手に汗握る」のような身体についての慣用句を茶化す漫才だが、これもどっかで聞いたような内容で、新鮮味には乏しい。
○光太朗 「どうでもいいこと」と「どうにもならないこと」についての漫談。ほんと、テレビの話題中心で、どうでもいい、という感じ。
○どんぴしゃ どうだったっけ?なんか、何もかもアンバランスで、話の印象は弱い。
○アベドゥ 「クラリネットこわしちゃった」の歌を茶化すという漫才で、そのしつこさがなかなかいい。
 各組3分というむずかしい持ち時間だが、それを満たせない。オリジナリティ不足だ。

 続くホップ組の出演者は10組。
 1分はあっという間に過ぎる。印象に残るまでに至らない。男性1人や女性コンビなどもいてけっこう多彩だが、まだまだ荒削りでいびつだ。話題も今ひとつで、なかなか先取りするタレントは見つからない。

 ジャンプ組は漫才3組と漫談一人。
○高森敬太 学生の芸人。内容もテンポも今ひとつ。
○IMASOKARI 刑事もののテレビドラマの話の漫才。アイディアに切れがない。
○どりあんず 体型の話。間延びしたしゃべりで、緊張感に欠ける。
○パタパタママ 恋愛コンサルタント教育の話。日常を鋭くみつめて笑いを探そうとする姿勢は弱い。
 ジャンプ組には失望した。若手を相手に手抜きをしているのではないか。相手が違う。観客が相手だろ。

 そのあと大喜利的に「プライベート・クイズ」。「これだけは絶対許せないこと」などについて、指名された芸人が語るが、アドリブのレベルは低い。これに35分もかけるのは水増しだ。

 バトルなのに緊張感が弱い。すぐに昇格・降格の審査結果を発表すれば盛り上がるのに。
 観客はほとんどが女子高生。7割くらいの入りだった。


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