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《2003.12月−11》

出し物で出来に差があるのは、しかたないか
【勘朝・たくじ 二人会 (内浜落語会)】

構成:内浜落語会
27日(土) 18:00〜20:45 甘棠館Show劇場 1500円


 勘朝・たくじ 二人会は、福永たくじのひとり芝居に落語2題のあとトークと、バラエティに富んではいるが、ラストのトークは切れ味が悪く、不要だ。

 第一部は、福永たくじのひとり芝居「(ハリソン・フォードの)心の旅」。
 凄腕の弁護士が銃で撃たれ記憶喪失になるという話。ポイントは、記憶をもとに戻らせることはなく、素朴な性格になってしまった主人公の生き方を徹底的に肯定的に描いていること。家族との心の通い合いが泣かせどころだ。
 福永たくじは、自分の感動をそのままなぞる。ひとり芝居というよりも、ひとりがいくつもの役を演じる「マルセ太郎のロードショー」と同じ形式だ。原作に乗っかかっていて、独自の表現にまで達していない。語りとセリフや、セリフとセリフが峻別されずダラダラという印象だ。自分の甘ったるい叙情を突き放せないところが、作品としての質を大きく下げてしまった。それに、約1時間20分というのは長すぎる。

 第二部は落語2題。粗忽家勘々「愛犬チャッピー・韓国バージョン」と、粗忽家勘朝「お神酒どっくり」。
 「愛犬チャッピー・韓国バージョン」は、釜山の大学で高座にかけたもの。挿入歌の「犬のおまわりさん」が韓国の歌になっているなどという改変がある。いつもどおりのばかばかしさで笑えた。韓国でも大うけだったらしい。10分強。
 「お神酒どっくり」は、銀のお神酒どっくりを水がめの中に置いたことを忘れていた旅籠の番頭。大騒ぎになっておりバツが悪くてそのことがいえないので、失せもの探しの占いをして場所を言い当て事なきを得る。が、それで占いの名人と誤解され、上方まで判じ物をしに行くことになる。が、それをみぎとにクリアしてしまう、というめでたい噺。
 勘朝は緩急をつけてテンポよく聞かせる。気持ちいい話でもあり、ゆったりと豊かな気分にしてくれる。30分強。

 中入り後に抽選会。メルマガ読者賞の抽選で、長井好弘著「寄席おもしろ帖」(柳家花緑、柳亭市馬、林家正楽のサイン入り)をゲット。ちなみにメルマガ読者の抽選対象は2名だけ。

 第三部は、勘朝とたくじのトーク。
 白板にパネルを貼りつけて、今年の10大ニュースについての鼎談。常識的で、切れ味、テンポともに聴かせるレベルにない。こんなのはテレビで眼が肥えているし、題材への突っ込みや独特の話術も必要だから、聴かせるレベルに行くのが大変だ。約25分。

 二人会は毎年12月に行い、今回で4度目だという。ほぼ満席で、80人くらいの入りだった。


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