福助の「お染の七役 <於染久松色讀販>」での早替わりが楽しかった。松緑と亀治郎の「四変化 弥生の花浅草祭」も楽しめた。
でも今月の歌舞伎は、「大歌舞伎」ではなくて「花形歌舞伎」で、かなりサラッとした印象だ。全体的には軽くて動きがいいのは好感が持てる。年齢的にはずいぶん若い役者による舞台だから、大看板が出ない分、重みに欠けるのはしかたがない。演目としては、歌舞伎らしい荒事の演目がひとつはほしい。
○四変化 弥生の花浅草祭
浅草の三社祭に登場する山車の上に飾られた人形をモチーフに、いくつもの踊りを次々に踊っていく四変化の舞踊。全体的に松緑は動きが大きくダイナミックで、亀治郎はやや単調だが形はいい。
〔神功皇后と竹内宿禰〕
亀治郎の神功皇后と松緑の竹内宿禰。松緑は踊りから楽しさがあふれ、ユーモアもたっぷりだ。上演時間7分。
〔三社祭〕
船頭ふたりの踊り。途中2回衣装が変わる。最後は中国服のような衣装に、善玉(亀治郎)と悪玉(松緑)と書いた面をかぶる。同じ動きをするペアの踊りも、動きがいいから楽しめる。上演時間18分。
〔通人・野暮大尽〕
通人(亀治郎)と国侍(松緑)の対比をみせる踊りだが、国侍のセンス、そんなに悪くないという作りだ。上演時間5分。
〔石橋〕
赤と白の連獅子。激しくダイナミックな動きがいい。上演時間5分。
この公演は、1日から25日まで35ステージ。
今月の花形歌舞伎の出演者には大看板がおらず、出演者にやや重みが欠けたことと、昼夜同一演目のせいか、空席が目立った。