軽薄さ丸出しという舞台で、正直「バカにするな!」という舞台だ。その軽薄さはもともとこの劇団の地でもあるし、照れ隠しも混じっている。
軽薄であってもいいけれど、内輪ネタだったり、やるほうだけが勝手に楽しんでいるというつまらない軽薄さは、作品の品位を著しく落とすので考えたほうがいい。全体がそこでくくられてしまうのはもったいない。
刑務所民営化の試行実施の話。
応募して採用された3人の刑務官が、志願した3人の囚人を30日にわたってモニターする。その民営化刑務所のコンセプトは、「刑に服す≠罪を償う」ということ。だから、囚人に罪を償わせるために刑務所は、囚人をさらに苦しめることを実行する。
前半は、つまらなさ過ぎ。
公演予告のビデオ、PRだらけの前説で観客をしら〜っとさせたあとの本編も、どうでもいい幼稚で低俗な話ばかりで、聞くに耐えない。眠ってしまった。
中盤になってやっと、教誨師のおっさんというの登場して、「刑に服す≠罪を償う」ということを説く。
そしてそのことを、家族などとの面会で実証してみせることになる展開は、よけいなノイズが多すぎるが、まあ何とか見せる。ただ、そのあとの刑務所長の長々とした解説(種明かし)は不要だ。そこまで言わずに、感じさせてこその舞台だろう。
演技は何とも中途半端だ。
例えば、床に落ちたものを他人に食べさせるなど、アイディアのレベルが低すぎるところに、それを小手先で何とかしようとするか、無為無策に放り出されるから、とても見てはおられない。かわした演技はあってもいいが、かわすものさえないというところで、かわす演技をやってもムダだ。だから、舞台を空白の時間が支配する。
そんななかでは、囚人役の久保大輔がまあまあ。出番は少ないが、女役の都地みゆきが切れのいい演技を見せる。
この劇団を見ていると、軽薄さに徹するのもそれなりに大変なのがよくわかる。
ここは、大きなしかけに加え、ピリッとした小技の集積で、シリアスを隠してしまうような、パワーのあるバカバカしさを期待する。それがこの劇団の持ち味だから。
この舞台は、劇団池田商会第8回番外公演で、きのうときょうで8ステージ。12、3人の観客だった。