*** 推 敲 中 ***
ケカリーノ・ケカリーナの3年ぶりの公演は、ややパワー不足という印象だった。
その理由は、上演時間も短くボリューム不足ということもあるが、からんだりえぐったりという演技力が弱いことが主に原因している。芝居を見せるための舞台づくりに徹していないこともある。
それほど長くない演劇が3本に、幕開と幕間と幕引にダンスが4つというオムニバス作品。ダンスの振付は、すべて大内田早穂。中央の丸舞台で演じられ、観客は四方から見る。
幕開:ダンス「シャバダ☆天国」、幕間:ダンス「水たまり」、壱劇「天使と悪魔」、弐劇「0604021533」、幕間:ダンス「くしゃみ相撲」、参劇「闇と鱗粉」、幕引:ダンス「椿荘」 という順で、全体の上演時間は1時間強。物足りない。
幕開のダンス「シャバダ☆天国」は、大音響のもと、丸舞台をフルに使ったダンスで、一気に舞台の世界に連れて行ってくれる。
続く、ダンス「水たまり」は、傘を使ったこれもダイナミックなダンスで、楽しめる。上演時間は、2つで約5分。
「天使と悪魔」(作:とまと、脚色:ケカリーノ・ケカリーナ)は、おせっかいな天使と悪魔に翻弄される若い女性の話。
天使の善意(のつもり)がいい結果を生まず、悪魔の悪意も当然いい結果を生まず、ますます落ちこんでいくのが笑わせる。
工夫されたしゃれたセリフがよく、間違いを引き起こすタイミングも練り上げられていて、とても楽しめる。上演時間は15分弱。
「0604021533」(作:江崎穣)は、車の3人の女とゴルフする女が・・・(どうだったっけ?)。展開がとろく、動きのないシーンも多いためにたいくつだった。上演時間は約25分。
続く、ダンス「くしゃみ相撲」は、春、花粉症のダンスだが、あっという間に終わった感じ。
「闇と鱗粉」(作:池田美樹)は、売れない挿絵画家の願いを蛾の精がかなえるという話。蛾の羽を一枚剥ぐたびに願いはかなうが、目や耳や声を失っていき、孤独に至る。羽を返して、挿絵画家は生き返る。演出は一見いろいろ工夫しているように見えるが、なんか印象がものすごく薄い。ポイントをはずしているとしか思えない。上演時間約15分。
ラスト、ダンス「椿荘」は、・・・(これもちょっと、内容について印象が薄い)。上演時間約4分。
全体的にいうと、ボリュームがそれほど多くないのに、特に演劇の印象が薄いのが気になった。
演出は、女優をカッコよく目立たせるのを目的にしていて、作品の質は二の次になったように思う。一部に脚本が弱いこともあるが、演出が脚本の魅力を十分には引き出せていないし、同じトーンの演出でメリハリのなさ過ぎのため単調で平板な印象になった。
3年前に比べて、色っぽくはなったが、ひたむきさや純粋さは後退しているのではないかと思った。この公演がショーウィンドウという位置づけならば、それでもいいのかもしれないが。
この舞台は2日と3日で3ステージ。120席くらいの会場には、少し空席があった。