発想のボリュームがないところを無理やり膨らませて時間稼ぎしていて、水ぶくれ状態の舞台だ。どうしてこうも夾雑物が好きなんだろう。
発想の貧困の象徴である「ピストル」と「幽霊」ばっかりのうえに、「ミュージカル」の劇中劇がからんで、あまりに使い古された発想に、もううんざりしてしまう。
殺し屋カンパニーの5人。
ヘッドとNo.2のふたりが殺される。その犯人探しの話。
ただそれだけの話なのに、舞台は大小取り混ぜて寄り道ばかり。
その寄り道、ちょっと行っては引き返したり、ウヤムヤにしたりと、寄り道が全体にからまず、また寄り道そのものもまったくおもしろくない。
大きな寄り道は、幕開きのケントの制裁から始まる。このシーンのおぞましさは、仲間への信頼などとても感じられず、この集団のいやらしさが先に立つ。
キャビンホールの権利書売りのシーンも、クドクドとものすごく時間をかけるのに、結果はただの襲撃で、何だ?としか思わない。時間稼ぎだ。
小さな寄り道は、「職権」と「食券」の違いをわざわざ解説(!)したりと、的外れでおもしろくもない中途半端な突っ込みがゾロゾロで、そのようなどうでもいい情報に観ているほうは引っぱりまわされることになる。
犯人は、上部機関から指令を受けていたラークだったといっても、伏線などはなく、結果としてそうだったというだけ。あぁそうなの、という印象しかない。
そんなふうで、観客をひきつける構造になっていない。だから、何とかしようと力みっぱなしの演技になる。死体に野菜を使うなどの工夫も、全体がこれだと埋もれてしまう。
この舞台は、3年2ヶ月ぶりに復活のセコンド・ユニットの公演で、きのうときょうで3ステージ。会場が広いこともあり、半分以下の観客だった。