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《2004.5月−1》

ニヤッと笑っても、いい
【ニヤニヤしてたら夜が明けた 〜苦しい時こそニヤッと笑え2〜 (池田商会)】

作・演出:三原宏史
1日(土) 11:05〜12:35 テアトルはこざき 1000円


 このオムニバス公演、池田商会らしい変わり身のよさでテンポある、切れのいいギャグの連発が笑えた。
 もともと個性的な俳優が多いこの劇団だが、それを生かしきれなかった脚本の質が、だんだんよくなってきているのは喜ばしい。
 この公演は、箱崎駅上下線開通記念・九州鉄道開業115周年記念2本連続公演と銘打たれた公演の1本目で、(劇)池田商会企画 総合芸術社玉屋Vol.1 となっており、6つの短い作品のオムニバスで、バラエティに富んでいる。

『苦しい時こそニヤッと笑え2』
 「苦しい時こそニヤッと笑え連合」の会合。苦しい時にニヤッと笑った報告が、まったく報告にならないバカバカしさを、ちょっとか軽くかわしすぎている。もうひと工夫あってもいいが、まあ楽しい。上演時間約8分。

『列車っちゃった』
 列車乗務員への「テロ対策の演習」。女性上司のダメが入り、繰り返すたびにシチュエーションが変わるのを5回も繰り返す。そのバカバカしさがいい。上演時間は10分強。

『プラット go home』
 漫才コンビの、駅ホームにおけるコンビ解消の話。ホームでの列車の出入りが時間経過をさりげなく示し、軽くくだらない会話を組み合わせながら、ふたりの心情をうまく表現する。ただ、もっと練り上げられてもいい。上演時間約15分。

『ショート・ショート』
 「列車運転士に向かない男」の「乗り物酔いする男」からはじまり、車内放送「まもなく到着しま〜す。ドアが閉まりま〜す。」などという、数秒のコントが10以上くりひろげられる。こんなのもおもしろい。

『ホンダとマツダ』
 昇進試験のための勉強をしている殺し屋と、そのうるさい友だちとの会話。テンポのいい会話がいい。それにしても、殺しの相手がJR関係者とは、よくそこまでやるよという感じだ。上演時間10分弱。

『黄昏25号』
 鉄道事故死した男の遺体を回収している死体回収会社の社長と従業員。死んだ男は幽霊になっていて、先輩の幽霊に幽霊の手ほどきを受けている。社長が除霊しようとして呼んだイタコには幽霊が見えた。―こんな設定がなかなかうまくはまっていて、いい。脚本の質は高い。演出と演技がさらに切れ味よければ、もっとおもしろくなる。上演時間約25分。

 この舞台は、きょうとあすで6ステージ。ファーストステージの11時からの回を観た。10人弱の観客だった。時間が時間とはいえ、空席が目立つのが気になる。劇場の宣伝も含め、もっとプロモーションを充実したほうがいい。


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