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《2004.5月−6》

うぅ、この怒りをどういえばいいか・・・
【緋色の槍を持つ者よ・・・ (Gary)】

作・演出:朝倉桂
9日(日) 14:05〜15:35 ぽんプラザホール 1200円


 一見それらしい形には見えるが、いびつで、みごとなまでに内容のない舞台だ。
 大事なことを何ひとつ開示しないでおいて、最後にパッと幕をはぐるような、超手前勝手な構成。それを見ていると、おもしろさということを完全に勘違いしているか、全然わかっていない。そのことがわかる舞台だった。

 舞台はよくわからない場所。そこはシスターに統率され、若い男女・ゲイルとルル、男・斉藤がいる。また、アガナフという男も幽閉されている。そこに、特別な少女・ドンレミがたどり着いた。

 上演中ずっと、前の席の人の貧乏ゆすりの振動が伝わってきた。貧乏ゆすりでもしなければ耐えられないその気持ち、よくわかる。観客のそんな気持ちなどおかまいなしに、演じる側は何の疑いもなく気持ちよくやっている。それもストレスになる。
 どうしてこうもひどくもつまらないのだろうか。脚本は、思わせぶりだけで内容はない。だから人物はみんな、糞理屈とはぐらかしばっかり。結局、ドンレミがジャンヌ・ダルクの生まれ変りだということがわかるだけで、人物に何の行動もないという空疎な芝居だ。
 このストーリーなら、しつこい繰り返しのセリフを整理すれば、ラストまで20分もあれば十分。そこからほんとうのストーリーが始まるのではないか。

 この舞台はきのうときょうで3ステージ。若干空席があった。


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