一見それらしい形には見えるが、いびつで、みごとなまでに内容のない舞台だ。
大事なことを何ひとつ開示しないでおいて、最後にパッと幕をはぐるような、超手前勝手な構成。それを見ていると、おもしろさということを完全に勘違いしているか、全然わかっていない。そのことがわかる舞台だった。
舞台はよくわからない場所。そこはシスターに統率され、若い男女・ゲイルとルル、男・斉藤がいる。また、アガナフという男も幽閉されている。そこに、特別な少女・ドンレミがたどり着いた。
上演中ずっと、前の席の人の貧乏ゆすりの振動が伝わってきた。貧乏ゆすりでもしなければ耐えられないその気持ち、よくわかる。観客のそんな気持ちなどおかまいなしに、演じる側は何の疑いもなく気持ちよくやっている。それもストレスになる。
どうしてこうもひどくもつまらないのだろうか。脚本は、思わせぶりだけで内容はない。だから人物はみんな、糞理屈とはぐらかしばっかり。結局、ドンレミがジャンヌ・ダルクの生まれ変りだということがわかるだけで、人物に何の行動もないという空疎な芝居だ。
このストーリーなら、しつこい繰り返しのセリフを整理すれば、ラストまで20分もあれば十分。そこからほんとうのストーリーが始まるのではないか。
この舞台はきのうときょうで3ステージ。若干空席があった。