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《2005.3月−4》

いろいろあるけど、なんか魅力的
【猥々野郎 (0相)】

作・演出:河野通幸
8日(火) 19:05〜20:35 ぽんプラザホール 通しチケット3600円


 女性6人の気持ちがうまく表現されていて楽しめるが、ドラマを強調しないと見せる作りのためかテンポが遅く、中盤ウトウトしてしまった。
 そのような欠点と見えるところを是正しようとすると、この舞台のいちばんの魅力を壊しそうな気がするし、むずかしい。

 ネット中継のための「のぞき部屋」に集う6人の女性。
 それぞれに抱えた思いが、100万アクセス達成記念コスプレパーティに向かってのいくつかのシーンを通して、徐々に明らかになっていく。

 「のぞき部屋」の6人の女性の日常の繊細な心情を、ただ追っかけるだけと作りで、ヤマ場のコスプレパーティでさえドラマとしてはサラリとした印象だ。だが、何気ないと見えるように描かれた日常生活の中に、しこりのようなものを仕掛け続けているという描写は、決してサラリとはしていない。その結果、後を引き重層する思いの交錯がこの舞台の何ともいえない魅力となっている。6人の女性の個性と思いがクッキリとしてくる。
 その描写はこんな風だ。ただ一人結婚している女が夫の浮気を知って離婚を決意して「のぞき部屋」に入ってくる。何か悪いことが起こったことはわかるが、はじめ女は虚勢を張り、雑談の中で事実と本音がこぼれだす。そのような表現方法は、観客の積極的な姿勢を前提としているが、表現としての豊かさというか厚みを感じさせる。

 ただ、そのような表現方法は観客である私の意識のテンポと合わず、時にトロいと感じてしまう。それにはこの舞台ではふたつの理由があるようだ。
 ひとつは、ドラマとしての構造が弱いこと。もともと「のぞき部屋」を観客がのぞくような趣向だから、ドラマを目的としていないのかもしれないが、それでもやはり課題がありその解決に向かうというドラマの構造は、顕現しなくてもいいが踏まえてはおいたほうがいいようだ。
 もうひとつは、セリフを冗長あるいは不安定と感じてしまうことが多いこと。これにはセリフそのものの問題と俳優による表現の問題とがある。セリフは、テンポも勘案してもっと簡潔にしても、リアルさが損なわれることはないだろう。俳優は、リアルな演技のために意識的に大きな努力をしているのはわかり、それが成功しているところは多いが、まだ残る演技の不安定さが役をブレさせており、印象を弱めているのが惜しい。
 ただこの劇団の場合、欠点と思えるものと魅力とが表裏一体をなしており、欠点を是正したら魅力もなくなりそうなのがこわい。勢いさえあればいいと無責任なことも言えないし。

 熊本の劇団0相はこの舞台が福岡での初公演。ぽんプラザホールでの火曜劇場の上演作品で、きのうときょうで2ステージ。かなり空席があった。


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